勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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アジアの新勢力台頭、U21日本代表にも貴重な体験

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2018/8/31 6:30
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各チームがそれぞれ、いろんな思惑を込めて戦ったこのアジア大会。私が見た中で「これは強いな」と思ったチームにウズベキスタンがある。2015年にニュージーランドで開かれたU-20ワールドカップ(W杯)でベスト8に勝ち進んだメンバーが順調に成長。スピーディーかつパワフルなサッカーでカタール、タイ、バングラデシュと戦ったB組で3連勝した。準々決勝で韓国に壮絶な点の取り合いの末、3-4で敗れたが、フル代表の戦いにステージを移しても、日本のライバルになりそうな勢いを感じた。

1次リーグで敗れはしたが、北朝鮮と引き分けたミャンマーの健闘も立派だった。彼らもまた3年前のU-20W杯出場の経験を生かしていた。

急伸する東南アジア勢の充実にも目を奪われた。ベスト16にマレーシア、インドネシア、ベトナムが残り、ベトナムはバーレーン、シリアを下してベスト4まで勝ち進み、惜しくもそこで韓国に敗れた。

日本の指導者派遣、着実に成果

正直、10年前ならベトナムやマレーシアと日本が戦うとなっても、それほど心配はいらない力関係だった。今はそうではない。マレーシアはE組の第2戦で韓国を2-1で破り、首位通過した後のベスト16の戦いでも日本を土壇場まで追い詰めた。日本の決勝点は89分の上田綺世(法大)のPKという薄氷の勝利。マレーシアの3トップのアハマド、ラシド、アブドルラシドは日本のDF陣に脅威を与え続けた。

ベトナムについては、ヤマハが現地で開催しているサッカー教室の手伝いをしてくれたベトナム人のコーチが今は代表のスタッフにいて、国を挙げて猛烈にサッカー強化に力を入れている話を聞かせてくれた。

ハノイとホーチミンの中間くらいに位置するリゾート地のダナンに10面ほどのピッチを備えたトレーニング拠点がある。ベトナムのNTTのようなところがスポンサーになって環境を整え、U-19の代表はそこに常駐して鍛えられているとか。指導陣はイングランドの名門クラブ、アーセナルから呼んでいるらしい。

アジア大会前には3週間のキャンプを張り、強化試合を3つほどこなしてからインドネシアにやってきたというから、日本がW杯に出場するときと同じくらいの準備をして臨んできたわけだ。ベトナムのような新勢力にとって、アジア大会に勝って得られるチャンピオンの称号は喉から手が出るほどほしいことがわかる。

ベトナムの躍進には、大宮などでJリーグの監督を歴任し、14年から2年間ベトナムの代表監督を務めた三浦俊也氏(現ホーチミン・シティ監督)の土台づくりも大きくあずかっていると聞いた。

今回、アジア大会に出場したチームでは東ティモール代表を築館範男監督が、ネパール代表を行徳浩二監督が率いていた。両チームとも3戦全敗で1次リーグ敗退となったが、D組のネパールは1次リーグ初戦で日本を0-1と大いに苦しめた。

日本サッカー協会はアジア貢献としてコーチや審判などを各国に派遣し、人材育成にあたらせる活動をずっと続けている。それはアジアの発展なくして日本の発展なしという理念に基づくもので、各国がレベルアップして日本に追いつき、追い越すくらいにならないと、日本のためにもならないと思ってやっていること。今回のアジア大会でそんな貢献活動の成果がじわじわと表れているように感じた。

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