静岡5市町、道路関連データ公開へ 官民で活用検討
静岡県の袋井市、掛川市、菊川市、御前崎市、森町の4市1町が道路関連の情報を公開し、官民で活用するオープンデータ化の取り組みが始動した。自動運転に対応した高精度地図の製作など民間企業の事業創出や、埋設インフラの管理・補修などにつなげる。国が主導する事業の一環で、小規模自治体の連携による情報活用のモデル構築を目指す。

5市町は日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が経済産業省の事業採択を受けて実施する「小規模自治体におけるオープンデータを活用した事業機会創出に関する調査研究」に参画。自治体や民間企業、有識者らが連携してニーズ調査や課題検討などを進め、行動計画の策定や実証実験などに取り組む。

テーマとする道路関連情報のうち地図データは各自治体が持つ道路台帳を利用。工事やイベントによる通行止めなど道路占有許可情報なども合わせてオープンデータ化を検討する。例えば次世代自動車の自動運転に必要な地図情報の製作にかかるコストや手間の大幅な削減を見込む。
29日に袋井市総合センターで第1回の検討部会が開かれ、参加自治体や民間企業の委員らが、オープンデータ化実現に向けた今後の検討課題を整理した。
今後は企業との事業者懇談会を通じて民間の利用ニーズや公開形式、契約や料金など事業可能性に関する意見を集約。10月に開催予定の第2回の検討部会で議論する。
JIPDECの坂下哲也常務理事はこの事業者懇談会が「提供するデータの内容や体制を考えていく上で大切」とみており、県内の物流業者などを広く募る予定だ。
オープンデータ化は自治体にもメリットが期待される。例えば上下水道管など地下埋没物のデータを合わせることで、老朽インフラの維持管理を効率化できれば支出削減につながる。災害時情報を重ね合わせれば、迅速な緊急輸送路の設定などにも使える。
自治体のICT(情報通信技術)活用には財政負担増を伴うが、複数自治体の連携や様々なデータの掛け合わせで情報としての価値を高め、民間活力も生かしながらその軽減手法も探る。
今後は2019年1月の会合で成果を他の自治体などに発信し、18年度内に小規模自治体によるオープンデータ導入の指針を作る予定。19年度からはデータ活用の実践も進みそうだ。職員数の縮小が懸念される小規模自治体では課題解決に向けて共同化や対外連携が不可欠になっており、静岡発のオープンデータ活用で成果を目指す。