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米国防長官、トルコと軍事協力推進 関係悪化乗り越え

【ワシントン=中村亮、イスタンブール=佐野彰洋】マティス米国防長官は28日の記者会見で、トルコとの軍事協力を進める意向を表明した。近くシリア北部で、米・トルコ軍が共同で治安維持活動を実施する。トルコはシリアなどの過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦で中核的な役割を担う。米国人牧師の拘束問題でトランプ大統領はトルコ批判を強めるが、マティス氏は政治情勢と切り離して結束を維持したい考えだ。

「とても率直な意見交換だった」。マティス氏は28日、トルコのアカル国防相と27日に電話協議してシリア問題を議論したことを明らかにした。「我々は多くの事柄で協力し前進している」と強調。トランプ政権は8月上旬に相次いでトルコに経済制裁を科したが、軍事協力に影響は軽微との考えを示した。制裁の発表直後にも米軍当局者がトルコを訪れて緊密な連携を確認した。

両国はシリア北部マンビジュで治安協力を進めている。マンビジュでは米軍がIS掃討に向けた協力組織とみるクルド人勢力の人民防衛隊(YPG)が駐留していた。ただYPGをテロ組織とみなすトルコのエルドアン政権が撤退を求めたのを受け、米国は6月、YPG撤退に合意し、米・トルコ両軍が治安維持にあたることにした。

米軍がトルコとの協力を重視するのはIS掃討作戦を着実に進めるためだ。米空軍はシリア国境に近いトルコ南部のインジルリク空軍基地を拠点に、ISに空爆を実施している。トルコの反米グループは米軍を空軍基地から締め出すべきだと訴えており、実現すれば米軍も作戦の練り直しを迫られかねない。

トルコは米国に配慮してYPGへの威嚇行動を抑えているが、米との関係が悪化すればトルコがYPGに攻勢を強めるリスクがある。過去にもYPGがトルコ軍との戦闘に人員を割かれ、ISとの戦闘に支障が出た。

米ジョンズ・ホプキンス大のダニエル・セルワー教授はトルコからの基地やテロリスト情報の提供を通じて「米軍などのIS掃討作戦の効率性が高まっている」と指摘。「米国のISに対する軍事行動は治安維持の面でトルコにも恩恵をもたらす」と説明し、軍事協力の重要性を訴える。

マティス氏は28日の記者会見で、トルコがロシアの地対空ミサイルシステムを導入することについては「勧められない」と注文をつけた。両国が加盟する北大西洋条約機構(NATO)は対ロ防衛での協力を深めており、トルコの離反は結束の乱れにつながる。

両国の大統領とも強権的な政治スタイルが目立ち、軍事や経済的な利害を顧みずに自国優先の決断に陥りがちだ。マティス氏が模索する軍事協力も急転直下で頓挫するリスクは今後も残る。

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