2018年11月16日(金)

トヨタ、サービス軸に新たな姿 ウーバーに追加出資

自動車・機械
2018/8/28 18:11
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トヨタ自動車は28日、米ライドシェア大手のウーバーテクノロジーズに5億ドル(約550億円)を出資すると発表した。両社の技術を融合させて自動運転車両を開発し、2021年にウーバーのライドシェアサービスに導入する。トヨタの提携戦略が高品質の車を安定供給する従来の枠組みから、車両を使うサービスを生み出すためのものにシフトし、今後はスピードが問われそうだ。

トヨタは米国や日本で自動運転の実証実験を続けている(写真は米国の車両)

「ウーバーとの提携はモビリティーカンパニーへと変革するうえで重要なマイルストーン」。友山茂樹副社長は28日の発表文で追加出資をこう位置付けた。自動運転やシェアリングサービスを展開するスタート台に立った宣言と受け止められている。

トヨタは16年にライドシェア分野でのウーバーとの提携を発表し、金融子会社などを通じて少額出資した。この時点での出資額は数十億円規模だったとみられる。

今回はトヨタ本体の出資で金額も1桁大きいが出資比率は1%に満たない。ウーバーにはソフトバンクグループが1月に77億ドルを投じて15%の株式を取得し、筆頭株主になった。トヨタの出資は「自動運転分野のプラットフォーマーへの出資額として大きな金額ではなく、どこまで存在意義を出せるか疑問が残る」(国内コンサルティング会社)との声もある。

出資額でなく、同時に発表したもう一つのプロジェクトにトヨタの本気度が読み取れる。ミニバン「シエナ」をベースにライドシェア専用の自動運転車を開発し、21年にウーバーのサービス上で運行を始める。ウーバーの自動運転キットと、トヨタの「ガーディアン」という安全運転支援システムを連携して動かせるようにする。自動運転の判断を両社のステムで二重チェックする仕組みだ。

ウーバーが、実用化を前提に自動運転技術を持ち寄った車両を共同開発するのは初めて。ウーバーは今年3月、自動運転車で死亡事故を起こし、公道実験を中断していた。こうした開発の停滞もトヨタの技術の呼び水となった。トヨタも自らはライドシェアの知見を持たず、外部の力を借りることが欠かせない。

豊田章男社長はかねて「自動車業界は100年に1度の大変革期にある」「ライバルも競争のルールも変わり、生死をかけた闘い」と訴え続けている。自動運転やシェアリングなど自動車産業で新たな潮流が生まれ、米グーグルや中国の滴滴出行といったサービスの基盤を提供しようとする企業が現れたことへの危機感は強い。

トヨタはこれまで、効率生産を追求するカイゼン活動でコストを下げ、安定した品質の車を世界に供給してきた。その延長線上にあるSUBARU(スバル)や日野自動車との提携関係は、主にエンジン車の技術を補い合うものだった。

しかし、シェアリングなどの台頭で業界構造が変わり、「自動車メーカーはプラットフォーマーが設計するクルマを受託製造する下請けになりかねない」(自動車大手幹部)。今月に入り12年保有したいすゞ自動車株を手放した。独BMWからのディーゼルエンジンの調達も取りやめる方針。トヨタは既存事業の枠組みを次々に見直している。

対照的に最近の提携相手はウーバーやシンガポールのグラブといったライドシェア大手が目立つ。米国ではアマゾン・ドット・コムやピザハットといったサービス企業と20年代前半に自動運転の共同実験に乗り出す。

27日にはデンソーなどトヨタ系の部品会社4社が自動運転技術の新会社を設立すると発表した。グループ会社がトヨタに言われるがままに動くのではなく、次世代車に切り替わったときにグループとして主導権を握ろうと自らカジを切っている。

「前例のない、海図なき戦いが始まっている」。豊田氏は昨年8月、マツダとの資本提携を発表した記者会見で言った。それから1年。及び腰とみられていた自動運転や電気自動車(EV)に積極的に取り組み、車を顧客に所有してもらうことにこだわらず、サービスの基盤と割り切る考え方に軸足を移しつつある。トヨタが数年後、どんな会社に脱皮しているか、新たな姿の輪郭が見え始めた。(押切智義)

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