2018年11月13日(火)

米中貿易戦争 収束に備えを(大機小機)

大機小機
2018/8/28 16:00
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世界経済は安定成長を続け、企業業績も拡大している。米国が今年4回利上げするとの予想は織り込み済みとみなされている。テクニカル指標に目を転じれば、様々な上放れシグナルがともる。それなのに、世界の株価は膠着感が強い。デジタル時代の覇権争いの様相を呈している米中貿易戦争が、投資家を金縛り状態にしているのだ。

逆に言えば、争いが収束すれば世界の株価は一挙に上昇する。筆者は十分あり得るシナリオだと考える。

時にハチャメチャに見えるトランプ米大統領の政策だが、対中国では戦上手ぶりを発揮している。知的財産権の侵害やサイバー攻撃などで米国を脅かす中国は、米国民の間に悪感情が強い。これに「便乗」し、対中戦で万全の態勢を整えた。一方、欧州連合(EU)とは急きょ、関税撤廃に向けての交渉に同意し、これまでの対立を棚上げ。メキシコ、カナダとも北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉への道を開いた。

中国は米国との貿易戦争に長くは耐えられないだろう。減税効果と歳出拡大の後押しで、米国の4~6月の成長率が年率4%台と絶好調なのに対し、中国はインフラ投資の落ち込みや個人消費の伸び悩みなどで成長減速が顕著だ。

中国には関税引き上げ合戦を続ける余力もほとんど残っていない。米国の対中制裁対象は第1弾から3弾までの合計で2500億ドルと、昨年の中国からの輸入総額(約5000億ドル)の半分程度にとどまる。しかし、中国の対米制裁対象はすでに1100億ドルに達し、米国からの昨年の輸入総額(約1300億ドル)に迫っている。

中国企業の技術力の進歩によって、中国はコピーする側からされる側(知財大国)に変貌しつつある。米国が非難する、デジタル分野の知的財産権侵害を続ける必要性は薄れている。世界一のデジタル国家を目指す「中国製造2025」も、自力での達成のメドをつけたといわれている。

以上を勘案すれば、中国は今秋にも習近平(シー・ジンピン)国家主席がデジタル分野や通商上で思い切った妥協案を出すことが考えられる。ディール(取引)の短期完結がモットーのトランプ大統領がこれをのみ、休戦が実現する可能性も十分ある。これへの備えも重要だろう。

(逗子)

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