2018年11月16日(金)

難しいトランプ氏の弾劾(The Economist)

トランプ政権
北米
The Economist
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2018/8/29 2:00
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The Economist

テレビのリアリティー番組の制作者なら、あれだけの重大ニュースが重なったのは最高の瞬間だっただろう。21日、トランプ米大統領がウエストバージニア州での選挙集会へ向かう途中、2016年の大統領選挙で彼の選対本部長を務めたポール・マナフォート氏に、脱税や銀行詐欺など8つの罪状で有罪判決が下った。その数分前には、トランプ氏の元個人弁護士マイケル・コーエン氏が法廷で、脱税や詐欺、選挙資金法違反など8件の罪状について有罪を認めたからだ。

ケーブルニュース番組はどこも、あまりに重要なニュースがほぼ同時発生したため画面を複数に分割して報道したほどだった。この一連の疑惑はかねて人々の注目を集めてきたが、今回の展開で一つ、重大な変化が起きた。トランプ大統領は、選挙に勝つために自ら法を犯したという正式な告発に初めて直面することになったということだ。

■コーエン氏が有罪を認めたのは衝撃

マイケル・コーエン氏が女性への口止め料の支払いはトランプ氏による指示だったと明かし、事態は一気にトランプ氏に不利になったが…=AP

マイケル・コーエン氏が女性への口止め料の支払いはトランプ氏による指示だったと明かし、事態は一気にトランプ氏に不利になったが…=AP

マナフォート氏の裁判の経過を追っていた人や、同氏が長年、政治コンサルタントとして各国の独裁者やそれに近い指導者たちに仕えてきたことを知る人には、有罪判決は特に驚く結果ではなかった。だが、コーエン氏が有罪を認めたのは衝撃的だった。

彼は単なる弁護士ではなく、トランプ氏の厄介事を処理する存在だったからだ。大統領選中の16年に、トランプ氏と交際していたとされる女性2人に口止め料を支払っていた(トランプ氏は2人との関係を否定しており、2人への支払いを後で知ったと主張している)。コーエン氏は裁判中の宣誓証言で、「大統領選の候補者に指示され」口止め料を払ったと明言した。つまり、トランプ氏はコーエン氏に法を犯すよう命じ、それを隠すために嘘をついたことになる。

マナフォート氏の有罪判決も、コーエン氏が有罪を認めたことも、トランプ陣営につきまとっているロシアと共謀していたという疑惑に直接は関係しない。だがこの疑惑に関するモラー特別検察官による捜査がなければ、マナフォート氏とコーエン氏が起訴され、有罪になるということはなかっただろう。21日の有罪判決を含めた一連の出来事で、モラー氏の立場は強くなったといえる。もはや、トランプ氏が司法妨害の疑いを招かずしてモラー氏を解任することは難しい。

しかもこうした事件では、有罪判決を受けた側は自分の身を守ろうと、司法取引をしようとするため、別の有罪判決につながる場合が多い。つまり、マナフォート氏とコーエン氏が自分の刑罰を少しでも軽くしようと、今後、かつてのボスに対して不利な証言をするのか、もしする場合はどこまで不利な証言をするのかが焦点となる。

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