2018年11月22日(木)

「全てのレジャーの未来に」遊園地のような施設型VR

科学&新技術
BP速報
2018/8/28 18:00
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日経クロステック

体感装置を用いた施設型VR(仮想現実)コンテンツを手掛けるハシラスは、複数ユーザーのマルチプレーが可能な施設型VR「オルタランド」を発表した。一度かぶったVR用ヘッドマウントディスプレー(HMD)を外すことなく、複数のVRアトラクションを体験できる。体感装置を使用し、デジタル空間での行動可能な範囲そのものが移動したように見せかけることで、まるで広い遊園地の中にいるかのように感じさせる。2018年9月20日~23日に千葉県の幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2018」で展示する予定だ。

オルタランドのイメージ図(出所:ハシラス)

オルタランドのイメージ図(出所:ハシラス)

「これは遊園地の未来の姿に限らず、全てのレジャーの代替となる」――。ハシラス 代表取締役社長の安藤晃弘氏は、ゲーム開発者会議「CEDEC 2018」(18年8月22日~24日、パシフィコ横浜)で、オルタランドの詳細について講演した。

オルタランドでは、広さ約12×7メートルの体験エリア内に複数の体感装置を設置しており、それぞれ異なるVRアトラクションをプレーできる。同時に数十人が参加してマルチプレーが可能だ。例えば、円状に歩き続ける体感装置を使えば、VRでは真っすぐに歩きながら探検するアトラクションが遊べる。搭乗型の体感装置を使えば、VRでは空中散歩やジェットコースターのようなアトラクションが遊べる。現実空間の体験エリア以上の広さを利用したVRアトラクションを展開できる。

安藤氏は「自由に移動可能な施設型VRでは、動き回れる代わりに体験エリアの広さが限定されてしまう」とし、空間そのものをゲーム内で動かすことで、体験エリアの空間を利用する際の効率化を目指した。そこで、歩行と体感装置を組み合わせたVRアトラクションを開発した。大きく場面を移動する際には、映像を動かすだけでなく体感装置を使うことで移動した実感を与える。周辺を歩いて探索する際には、体感装置から降りて実際に歩いて移動する。両者を組み合わせることで、狭い体験エリアを効率的に使用できる。

■従来の施設型VRの課題を解決

オルタランドは、体験エリアが限定されるという課題以外にも、スタッフの人員確保において現在の施設型VRが持つ課題を解決する。これまでは、一度プレーするごとに体験者のHMDの着脱や操作説明を補助するため、同時にプレーする人数とほぼ同数のスタッフが必要だった。オルタランドでは、回数制ではなく時間制にして、主な操作方法を共通化することで、プレーするごとに必要だったスタッフの補助を不要とした。体験開始時にHMDを装着すれば、外すことなく複数のアトラクションを体験でき、順番整理やアトラクション内容の説明もVRで案内することで、スタッフの人数を抑えられる。

ハシラスの手掛けるVRアトラクションでは、ほとんどが台湾HTCの「Vive(バイブ)」を使用している。動き回れるVRアトラクションでは、背負って利用するバックパックPC(パソコン)を使用し、ケーブルが邪魔にならないようにしている。「最先端の体験を提供するために、スタンドアローン型の使用は考えていなかった」(安藤氏)。現在の単体動作(スタンドアローン)型HMDでは、求める水準に処理性能が足りず、2つのカメラを使った「インサイドアウト」方式のポジショントラッキングでは、マルチプレーで他の体験者の位置を同期することが困難であるという。

左がハシラス CTOの古林克臣氏、右がハシラス社長の安藤晃弘氏

左がハシラス CTOの古林克臣氏、右がハシラス社長の安藤晃弘氏

「VRに期待されているのは、別の自分になって別の世界に行って仲間と過ごすこと」(安藤氏)。特に、自宅以外で楽しむ施設型VRでは、他の体験者とのマルチプレーが求められる。ハシラスでは、安定したマルチプレーを実現するために自社でネットワークライブラリーを開発している。同社最高技術責任者(CTO)の古林克臣氏は「今後、規模が大きくなるにつれて、従来の大規模スマホゲームやネットゲーム開発におけるノウハウが必要になるのではないか」と、ネットワーク技術向上の重要性を語った。

安藤氏は「施設型VRはエンターテインメントとして伸びしろが大きい。今後も最先端の体験を提供してVR業界を牽引していきたい」と意気込みを語った。

(日経 xTECH 東将大)

[日経 xTECH 2018年8月27日掲載]

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