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バドミントン桃田、アジアの子供たちのヒーローに
編集委員 北川和徳

2018/8/29 6:30
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バドミントン男子の世界王者、桃田賢斗(NTT東日本)のアジア大会は、シングルス3回戦で敗れて幕を閉じた。地元の大声援を受けたインドネシアの若手、アンソニー・シニスカ・ギンティン(22)に屈した。

無敵を思わせた世界選手権(中国・南京)の戦いぶりからは予想外の結果だが、番狂わせとはいえない。ギンティンは世界ランク12位。桃田より年下であることを考えてもこれから警戒が必要なライバルとなりそうだ。

団体戦でも対戦して桃田が勝ったが2―1の辛勝だった。個人戦は序盤にミスからリードを許して会場が盛り上がり、相手を乗せてしまった。

桃田のプレーの質は他の選手より圧倒的に優れている=共同

桃田のプレーの質は他の選手より圧倒的に優れている=共同

ギンティンは次の準々決勝で五輪王者の諶龍(中国)も破ったが、準決勝で敗退した。バドミントンは順当に勝ち続けることが簡単にできる競技ではないということだろう。

違法賭博への関与の発覚から2年5カ月。天狗(てんぐ)になった天才が私生活の失敗で転落。改心して厳しいトレーニングを続け、はるかに強くなって再起する――。ここまでの桃田の復活のストーリーはできすぎていて、まるで劇画かドラマを思わせる。

成績以上にうれしいのは、現在の彼のプレーの質が、他の選手より圧倒的に優れていることだ。

世界選手権は圧巻だった。驚異的なフットワークと体を投げ出してのレシーブで相手のエースショットの大半を拾ってしまう。攻めをまず受けてから、ラリーに持ち込む横綱相撲。スタミナで優位に立つから、終始余裕を持って試合を進めていた。これで腹筋を痛めていて全力でスマッシュが打てない状態で戦っていたというからさらに驚いた。

桃田自身は「嫌いなランニングや筋トレにも取り組むようになった」としか語らない。だが、実際にどれほどの量の地道な鍛錬を重ねたのかは、そのパフォーマンスが示している。

バドミントンはアジアで盛んなスポーツだ。世界ランク上位には日中韓のほか、インドネシアやマレーシアなどの選手が名を連ねる。目の肥えたファンの多い両国の試合では、自国選手との対戦でなければ、会場の声援は自然に桃田へ集まるという。レシーブ、ネットプレーなど驚くようなシーンが続く彼のプレーを見ればそれも当然だと思う。

あの不祥事が発覚する前、桃田は「(賞金で)派手な生活がしたい。それに子供が憧れてバドミントンを頑張るように」と言ったことがある。

もうわかっているはずだ。派手な生活など関係ない。ファンを魅了する今のプレーを続ければ、彼はバドミントン選手を夢見るアジアの大勢の子供たちにとっての憧れのヒーローになる。

(2020年東京五輪開幕まであと695日)

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