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芳根京子 祖母に買ってもらった「ここ一番の指輪」

完成した『累 -かさね-』は「全力でやりきった作品」になったと語る。「こんなにみなさんの反応が気になる作品は、初めてです」

NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』(2016年後期)のヒロインを務め、18年は月9ドラマ『海月姫』に主演、9月7日には土屋太鳳さんとのW主演で臨んだ映画『累 -かさね-』が公開するなど、躍進が続く女優の芳根京子さん。21歳の彼女が見せてくれたのは、「二十歳の記念に買ってもらった」という指輪だった。

◇  ◇  ◇

私が毎日、指輪を着ける理由

「以前、母方の祖母が亡くなる時に、『おばあちゃんがずっと着けていたものをあげる』って、ネックレスをもらったことがあるんです。それがすごくうれしくて、オーディションなど力が欲しいときに着けて、いろんなことを乗り越えてきました。それで父方の祖母にも何か一生、持ち続けられるものをもらっておきたいと思うようになって、20歳の誕生日に買ってもらったのが、この指輪です。

祖母も『せっかくなら本物の、ちゃんとしたものをあげたい』と言ってくれて、一緒にアクセサリーのお店に行って選びました。デザインは、祖母も私もそんなに派手なものが好きではないので、シンプルで飽きが来ない、一生使えるものにしました。あと、毎日着けられるようなものだと自分の中での特別感がなくなっちゃうので、あんまりカジュアル過ぎないものを選びました。

それから年に1回くらい、『ここぞ!』というときに着けたいと思っていて。初めて着けたのは、今年の初めにドラマ『海月姫』の番組宣伝でフジテレビを1日電波ジャックした日です。私にとって月9の主役はすごく大きいことだったし、祖母もテレビで見たら喜んでくれるだろうと思って、『着けるなら電波ジャックの日だ!』と思いました。『今日、テレビに着けて出るね』と言っておうちを出たので、祖母はテレビを見ながら、指にばっかり注目してたと思います(笑)。

それ以来、着けたのは今日で2回目です。この指輪が指にあるとうれしいし、がんばろうって思いますね」

父方の祖母に20歳の誕生日に買ってもらった指輪

「私にとって初めてのダイヤです」というこの指輪は、特別な日のためのもの。日ごろは、別の指輪を着けているという。

いつも同じ指輪を使うように、服やカバンにも「精神安定」を求めるという。「持っているお洋服は白と黒ばかり」

「指輪とネックレスと時計は、毎日同じものを着けてます。指輪を着け始めたのは、朝ドラ『べっぴんさん』の時。『右手の人さし指に指輪を着けると、集中力やリーダーシップが上がる』と聞いて、『集中力、欲しい!』と思って(笑)。撮影も後半戦に入った頃で、追い詰められてたんでしょうね。それから今まで、毎日着けてます。集中力ですか? 『集中力が上がる!』と思えば、人は集中力が上がるんだなと思いました。

あと、毎日同じ指輪を着けていると、安心するんですよ。ふと見たときに、同じ指に同じ指輪があると落ち着く。ネックレスと時計も同じです。

たぶん、自分に自信がないんだと思います。でも自信を付けないといけない場面がたくさんあるので、モノに頼るというか。『これがあると安心!』というものを持っていると強い、と思っているんだろうな。

こういうお仕事をしていて、いろんな人になる分、自分を見失いたくないっていう気持ちもある気がします。やっぱり作品に集中すると、本当の自分がどこか、わからなくなっちゃうときがあるんです。そういう時にいつもの指輪を着けると、力が抜けて、素に戻れる」

役作りのために共有した、一冊のノート

9月7日公開の出演作は、土屋太鳳さんとダブル主演した映画『累 -かさね-』。容姿は醜くも天才的な演技力を持つ累(かさね)と、美貌を持ちながらも芽が出ない女優のニナが、「キスすると一定期間、相手の顔になれる」という口紅を使い、互いの欲望を満たしていくという物語だ。芳根さんは累役だが、累の容姿で中身はニナという複雑な状態を演じる必要もあり、土屋さんと1人2役とも2人1役ともいえる難役に挑んでいる。

芳根京子さんは累の容姿で、累とニナの1人2役を演じた(C)2018映画「累」製作委員会(C)松浦だるま/講談社

「人気マンガが原作というプレッシャーもありましたし、今まで自分が挑戦してきた役とも全然違うので、不安は大きかったです。でもこの作品を乗り越えたら役の幅が広がる。今、自分が見ている景色とはまた違う景色が見られるはずだと考えて『自分なりに全力でがんばってみたいから、やらせてください』という気持ちでスタートしました。

「かばんも同じかばんを使ってますね。プライベートではいろいろ使いますけど、お仕事のかばんは2~3カ月同じものを使った上で、新しいものを買ったり、前に使っていたものをまた出してきたりします」

この作品では、太鳳ちゃんと2人で、2役ずつやらなきゃいけない。しかも、ここからここまでは私の累、ここからここまでは太鳳ちゃんの累っていうように感情のバトンをつないでいかなきゃいけないので、太鳳ちゃんのお芝居をよく見たり、話し合ったりしながら、2人で役を作り上げていきました。

『累とニナノート』という1冊のノートも用意しました。『累は猫背で、視線が下の方にあって、しゃべり方はこう。こういう時は、こういう気持ちでした』と私が書くと、太鳳ちゃんが『ニナは背筋が伸びて、堂々としていて、話し方はハキハキ。この時はこういう気持ちで……』と書いてくれる。そんなふうに、お互いに共有しながら文字を書くことで頭を整理ができて、役について再確認できたというか。終わってから、よく『あのノートを共有できたことは大きかったね』って話しています」

欲しいものはあまりないが、他人にあげるものを考えるのは好きだという。「これをあの子が持ってたらすてきだろうな、とか、誕生日にこれをあげたいなっていうものをケータイで探して、画像を保存して買ったりします

人間の美醜がテーマで、「顔か演技力か」といった女優という仕事についても考えさせる作品になった。累がニナの顔を欲するように、芳根さんは誰かの顔になりたいと思ったことはあるのか。また、女優は顔と演技力、どちらが大切だと思うのだろう。

「今、『高嶺の花』というドラマでご一緒している石原さとみさんを見ていると、本当にきれいで、『こういうお顔になってみたい』という目で見ちゃいますね。まあでも、自分は自分。『これも個性だ!』と思って生きてます。

女優は顔か演技力か、ですか。それは……役に合っていればいいんじゃないですかね。私は選んでいただく側なので、なんとも……。ただ、ぶっちゃけ、顔も大事だと思います(笑)。同じく演技力も、大事だと思いますね。

私はどっちで選ばれた方がうれしいか? ええーっ、どうだろう。でも今回、マネジャーさんから『醜い顔と美しい顔の2人の女性が主役の映画なんだけど』と話をされた時に、『あ、オファーが来てるのは醜い顔の方ね』と言われて『だと思いましたっ』と間髪入れず言ってました(笑)」

欲しいのは、演じる挑戦ができる場所

最後に、今、欲しいものについて聞いてみた。

「私、物欲があまりなくて……。でも、あります。絶対、あります。あるんです、絶対! だって、人間ですもん。ちょっと待ってください。最近私、何か欲しいって言ってました?(と周囲のスタッフに尋ねる。すると『人気』という冗談が)あ、それ欲しい! 賢い頭脳? それもいつでも欲しいっス(笑)。(『リンス欲しいって言ってたよね』との声)そうそう、この前、薬局でシャンプーとリンスを買おうと思ったら、間違えてシャンプーとシャンプーを買っちゃったんですよ。また薬局行かなきゃなー。だから今、めっちゃリンスが欲しいです。

モノじゃないですけど、私は現場にいられることがうれしいので、『いろんな作品に挑戦させてもらえる場所』が欲しいっていう欲は、すごくありますね。だからあまり『ガッツリお休みが欲しい』とは思わない。

現場で今リアルに欲しいのは、車に置ける冷蔵庫(笑)。毎日、暑いので。扇風機も欲しいです。でも『扇風機が欲しい』と言ってもう3年くらいたつので、もうずっと買わないんだろうな(笑)」

「自分用のものは『こういうかばんが欲しい』と思って画像を保存しても、しばらくしたら『そういえば、こういうかばんが欲しかったな』と思う程度で、画像を消去です(笑)」
芳根京子
 1997年生まれ、東京都出身。2013年にドラマ『ラスト□シンデレラ』でデビュー。15年に『表参道高校合唱部!』でドラマ初主演。16年にはNHK 連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロイン・坂東すみれ役を務めた。主な出演映画に『先輩と彼女』(15年)、『心が叫びたがってるんだ』(17年)。ドラマに『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(16年)、『小さな巨人』(17年)、『海月姫』(18年)、『高嶺の花』(18年)など。9月には映画『累 -かさね-』とともに『散り椿』も公開される。

『累 -かさね-』

(C)2018映画「累」製作委員会(C)松浦だるま/講談社

伝説の女優を母に持ちながらも、醜い容姿に劣等感を抱えて生きてきた淵累(ふち かさね)は、母から1本の口紅を譲り受けていた。それはキスした相手の顔を奪うことができる不思議な口紅。ある日、累は美しい容姿を持つが女優として芽が出ない丹沢ニナと出会う。ニナが欲しかったのは累の母譲りの演技力。口紅で顔を入れ替え、ニナの容姿になった累は、舞台女優として脚光を浴びるが…。監督・佐藤祐市 原作・松浦だるま(『累』講談社「イブニングKC」刊) 脚本・黒岩勉 出演・土屋太鳳、芳根京子、横山裕、筒井真理子、檀れい、浅野忠信 9月7日(金)全国ロードショー

(文 泊貴洋、写真 藤本和史)

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