2018年9月19日(水)

ビープラッツ SaaS拡大で機能強化

コラム(ビジネス)
スタートアップ
2018/8/28 12:38
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

 ソフトウエアを購入せず月額などで料金を支払うサブスクリプション(継続課金)導入を支援するビープラッツは2018年4月に東証マザーズに上場した。創業12年目の上場だが事業モデルの転換など試行錯誤の連続だった。クラウド上でアプリケーションを提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やモノがネットにつながるIoTの広がりでサブスクリプション導入の需要は高まっている。藤田健治社長に今後の展開を聞いた。

藤田健治社長

藤田健治社長

 ――上場の狙いは。

 「上場を具体的に検討し始めたのは16年からだ。IoTの需要が拡大し始め、加えて仮想移動体通信事業者(MVNO)の登場でIoT向けに安価な通信料を設定しやすくなった。SaaS向けに培ったサブスクリプション導入支援はIoT分野でも活用でき、当社の営業先も大企業に広がった。大手の受注を獲得し一回り大きい成長を遂げるために上場で会社の信頼性を担保する必要があった」

 ――上場時の調達資金約2億5千万円の使途は。

 「ソフトの新機能開発にあてる。電子マネーや仮想通貨など多様な決済システムへの対応や自社のシステムを外部につなぐ『API』の機能強化などを進める。ほかにも北九州市立大学などと値決めに関する先端研究を進めている。ビッグデータや課金ビジネスの価値の決定方法などを研究する。成果はサブスクリプション導入支援事業へ反映するほか、最終的にビッグデータを活用した新事業の創出などにつなげたい」

 ――創業時からSaaSに着目していたのですか。

 「当初はSaaSを集めた販売サイトを運営していた。いわばSaaS界の楽天だ。当時は米国でSaaS市場が花開いたころ。日本でも市場が拡大すると思ったが、当時の日本では売るものがほとんどなかった。米国のソフトウエアの商権を獲得しいくつかを売ったが、日本ではまだまだ売り切りソフトが全盛期。ソフトの受託開発でしのぐなど苦しい時期が続いた」

 「それでも必ずSaaSの時代が来ると耐え、13年にSaaS構築を裏側から支えるサブスクリプション構築支援のビジネスモデルに転換。これが奏功し、加速度的に業績が伸びた」

 ――競合は。

 「弊社と同じく06年に創業し今年4月に米市場に上場したZuora(ズオラ)だ。時価総額は30億ドル超(約3300億円)で日本にも進出済み。ただ個人的には日本の消費者の購買分析につながる課金部分のビッグデータを米企業に握られることに抵抗感がある。日本の商習慣や市場に合致した機能開発を進めて違いを出していきたい。日本発のスタートアップとしてSaaS市場発展を支えたいと思っている」

 ――足元で大手企業との提携が相次いでいます。

 「東京センチュリーなど大手8社と販売パートナー契約を結んだ。昨年の2倍だ。リースや決済関連企業の囲い込みで販売先確保につなげたい。今後もソフトウエアベンダーなどと提携戦略は拡大する」

 ――将来の成長の姿は。

 「現在IoT関連の上場企業50社がサービスを採用している。採用企業数を早期に倍増させる。採用企業の取引先も弊社の仕組みを使うことになり結果的に日本のサブスクリプション市場のプラットフォーマーとなることを目指す」

■ ■ 記者の目 ■ ■

 SaaS市場は米国が先行するが、ここにきて日本も成長段階に入ってきた。富士キメラ総研によると日本のSaaS市場は2021年に16年比約2倍の5752億円と年平均15%で成長する。営業支援や労務・人事管理に加え医療や建築といった特定業界向けなど様々な分野に応用が広がる。サービスを提供するスタートアップの大型調達も増えた。会計サービスのフリー(東京・品川)が8月に65億円を、マーケティング支援サービスのプレイド(東京・中央)も4月に約27億円をそれぞれ調達するなどリスクマネーも流入する。

 市場の成長に合わせ、決済システム構築支援サービスの需要も拡大しそうだ。ただ米市場を制したZuora(ズオラ)との競争は激しさを増す。同社は15年に日本に参入、東芝コマツなど大手企業への導入が進む。サービスの差異化が勝負どころで、日本人の月額課金に対する意識や消費動向などを加味したシステム開発や、産学連携で進める値決めに関する先端研究などがサービスに生かせればおもしろい展開になりそうだ。  (京塚環)

[日経産業新聞 2018年8月28日付]

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