福井の2原発で防災訓練 初の「同時発生」を想定
地元住民1万7000人が参加 初の洋上医療訓練も

2018/8/27 15:58
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関西電力の大飯原子力発電所(福井県おおい町)と高浜原発(同県高浜町)で25、26日、原子力防災訓練が行われた。全国で初めて複数の原発で同じ日に重大事故が起きる事態を想定したもので、1万7000人を超える地元住民が参加。海上自衛隊による洋上での医療訓練も実施された。今後は夜間発災時の対応や悪天候を前提とした訓練の実施が求められる。

海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」の手術室で処置を施す福井総合病院の災害派遣医療チーム(26日、敦賀湾海上)

訓練には内閣府や自衛隊、福井県、京都府、滋賀県など約190の関係機関約4300人に加え、おおい町や高浜町などから多くの住民が参加した。このうち約2300人は自宅から指定場所までの避難を体験した。

2原発でのほぼ同時刻の発災ということも有り、前回に比べて実動部隊を倍増した。中でも注目は敦賀湾沖4.5キロに停泊した海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を災害時医療拠点とした医療訓練だ。原子力防災訓練で洋上の医療訓練は全国初という。

大飯原発と高浜原発の半径5キロ圏(PAZ)の負傷者計6人がヘリでぶんごに輸送され、福井総合病院の災害派遣医療チーム(DMAT)が患者の処置の優先順位を決める「トリアージ」と治療を施した。26日午前10時05分ごろ、右血気胸・上肢胸部挫創と診断された負傷者役の嶋野雄一郎さん(44、会社員)が艦内の手術室に運び込まれ、外科医の橋本智哉医師が手術に見立てた処置を進めた。

高浜町音海地区から搬送された嶋野さんは「搬送は迅速でちゃんと助けてくれるという安心感を持てた。ただ、被曝(ひばく)した際の扱いがどうなるのかは懸念として残った」と話し、今回の経験を帰宅後、家族や知人に共有するという。

今回の訓練は2016年の高浜原発の重大事故を想定した広域避難訓練の課題が一定程度反映された。例えば、16年は車での避難は30台にとどまり、ほとんどが公用車だった反省から、今回は自家用車約78台での避難を実施した。前回は悪天候でほとんどできなかったヘリや船での避難も実施できた。

今後の課題は、夜間や悪天候下でも計画通り実施できるかだ。前回も今回も夏場の日中の訓練だったが事故はいつ起こるか分からない。訓練後の会見で内閣府の荒木真一官房審議官は「総合防災訓練での実施になるかは分からないが、24時間通しての訓練や冬場の訓練も考えている」と振り返った。

福井県の西川一誠知事は訓練について「交通関係の統制は課題として残る」と振り返った。今後については「高速道路や国道の交通管制などをどの程度行うかで、防災訓練の内容が変わってくる」と総括した。(福井支局 吉田啓悟)

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