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阪神、CSへ正念場の秋 競り合いにこそ勝機

熱戦を繰り広げてきた全国高校野球選手権大会が終わり、阪神がまた本拠地の甲子園に戻る。待っているのは正念場の秋の戦いだ。留守中の長期ロードは、京セラドーム大阪での主催ゲーム5試合を含め、12勝12敗とちょうど5割で乗り切った。だが、今季通算では借金6が残ったまま。残り40試合を切った終盤戦では、クライマックスシリーズ(CS)進出に向け、気の抜けない試合が続く。(記録は27日現在)

長期ロードの最終日は26日の巨人戦(東京ドーム)。5点差をつけられて迎えた八回、梅野隆太郎が2ランを放ち、3点差に詰め寄った。この回からマウンドに上がった巨人の3番手沢村拓一は直球にキレがなく、出来はよくない。金本知憲監督に「ひょっとしたら」という期待が芽生えたのはこの2ランだったというが、今季の阪神打線の貧打を見続けてきたファンの多くは、この後で2死走者なしからさらに4点を奪って逆転するとは、なかなか想像できなかっただろう。

打ち破った一つのジンクス

今季のチーム打率2割5分、421得点はいずれもリーグワースト。打線の反発力はきわめて弱く、七回終了時にリードを許していた場合、逆転できた試合はここまでなかった。首位を走る広島は今季571得点、逆転勝ちがある意味、お家芸であるのとは対照的だ。

26日の巨人戦で、代打伊藤隼が八回に逆転の2点三塁打を放った=共同

2戦連続完封負けの後のカード3戦目だったこの試合も、序盤の失点で敗色濃厚だった。だが、八回は2死からさらに安打と四球2つで満塁とし、俊介が2点適時打。さらに代打伊藤隼太が代わったばかりの左腕池田駿の初球をとらえ逆転の2点三塁打と、まさに畳み掛ける攻撃で一つのジンクスを打ち破った。

伊藤隼は「ただの1勝かもしれないが、本当に勢いのつく勝ち方。甲子園に帰って、いい戦いをしていきたい」とチームの視線の向かう先を代弁。現状は借金6の4位だが、独走する広島を除く5球団はいずれも勝率5割を切り、CS進出ラインの3位以上はどのチームにもチャンスがある。残り試合の踏ん張りが大事だということだ。

さて、ここからが本題だ。阪神がCSに進出するためには、どんな戦い方が必要になるのか。ここから2週間はまず甲子園でヤクルト、DeNAと各3試合を戦い、マツダスタジアムで広島と3試合、また甲子園に戻って巨人と2試合を戦う。今季の対戦成績ではヤクルト、DeNAとは分がよく、広島、巨人とは分が悪い。特に広島はホームでの勝率が高く、広島との残り8試合が全てマツダスタジアムということを考えると、平たんな道ではないのは間違いない。

貧打に泣いてきた阪神打線だが、ここにきて若干の上積みはある。6月下旬から2番・遊撃で出ている6年目の北條史也は、昨季陥った不調を乗り越え、この夏は打撃絶好調。7月は打率4割、8月も好調をキープしている。8番を打つ捕手の梅野も26日の巨人戦の2本塁打を含め、8月は打率3割3分3厘、4本塁打10打点と調子を上げている。

北條は8月も好調な打撃をキープしている=共同

8月14~16日の広島との3連戦(京セラドーム大阪)の初戦、いかにも北條らしい打席が五回にあった。相手は広島の左腕ジョンソン。先頭の1番糸原健斗が四球で出塁し、北條は初球バントの構えからバットを引き、判定はストライク。2球目はバントを敢行するもファウル。カウント0-2とあっという間に追い込まれた。

北條はバントが大の苦手で、きっちりと犠打を決めるシーンにお目にかかることはまずない。だが、ここから何とかするのも北條らしさか。ヒッティングに切り替え、3、4球目は高め直球をファウル。5球目以降もボール3つを挟み、11球目までファウルをさらに4つ重ね、12球目のスライダーを左前打にした。スタートを切っていた糸原は三塁に達し、無死一、三塁。犠打が成功した場合よりもさらに好機を広げた。

まさに結果オーライ。ベンチにしたら歯がゆい部分はたくさんあるだろうが、ここから3番、4番の連続適時打につながった。さらに、この回だけで38球も投げる羽目になったジョンソンを5回116球で降板に追い込み、試合を競り合いに持ち込んだ。八回に登板した広島の4番手今村の乱調につけ込み、逆転勝ちできたのも、五回の北條の打席での粘りがあってこそといっていいのではないか。

金本監督は「バントは下手だし、足も速くないし」と苦笑しながらも、北條のバットに期待して起用を続けている。バントが苦手な2番打者は珍しく、今の阪神のように泥臭く1点を取りにいく戦い方をするチームにははまりにくいものだが、北條のバントが急にうまくなるとは考えにくい。今季はこのままいくしかないが、むしろ北條ならではの新たな2番打者像を示せたら面白い。

先発陣が中盤までどうしのぐか

いずれにせよ、14日の広島戦には、阪神が正念場の秋を勝ち抜くヒントが詰まっていた。先発の好投手をいかに早くマウンドから下ろすか。目指すべきは、粘って球数を投げさせ、高校野球のようにしぶとく勝ちにいく野球だ。今季はどのチームも救援陣が常に万全というわけではない。競り合いに持ち込めば、阪神の救援陣が勝る可能性もそれなりにある。問題は先発陣が序盤、中盤をしのげるか、というところだろう。

CS進出へファンは藤浪の復調を待ち望んでいる=共同

先発はメッセンジャーが大車輪の働きをみせているものの、次に安定感があるのは小野泰己、岩貞祐太ぐらい。昨季2桁勝った秋山拓巳らが奮起してくれないと苦しい。個人的には、2軍で好投しているという藤浪晋太郎が一枚加わると、阪神のCS進出に向けた戦いに勢いがつくのではないかと期待している。

6年前の夏の甲子園、大阪桐蔭のエースとして春夏連覇を果たした藤浪。春も夏も決勝で戦った光星学院(現八戸学院光星、青森)の中心打者が北條だった。その年のドラフト1位、2位で阪神に入った2人が、投打の両輪としてチームを回すような時代はいつかくるのだろうか。その片りんをこの秋に見たいものである。

(影井幹夫)

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