2019年5月24日(金)

医学部合格で男女差 予備校「女子、面接で不利か」

2018/8/27 1:30
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「成績が男子と同じでも女子が合格しにくい医学部がある」。受験生や予備校関係者が実感していた医学部入試の男女の合格率の違いが日本経済新聞の調査で浮き彫りになった。今春入試は大学間で女子合格率は最大4.9倍差があり、過去5年でも3倍を超えている。予備校関係者は「受験生に説明せず、性別で合否を判断しているとしたら不公平」と話している。

現在、医学部を目指して受験勉強中の高校3年の女子生徒(17)は、今春入試で男女の合格率が医学部によって最大約5倍の差があった調査結果について「東京医大のような不正な点数操作はしていないと信じたい」という。

ただ「女性は出産や子育てで仕事を休む期間がある。面接などをする大学側に『男性を多くしたい』という思いが心の片隅にあり、結果として男女差につながったのではないか」と受け止める。

別の高校3年の女子生徒(18)は父親が心臓外科医。深夜に帰宅するなど不規則な生活で、帰宅しても患者のカルテを見たり、研究論文を執筆したりと、多忙な父親の背中を見ながら、同じ医師を目指している。

「医師は体力のいる仕事。一般的に男性の方が体力はあるかもしれない」としながら「入試は学力を競う場。性別に関係なく、合否を決めてほしい」と求める。

医学部を目指す高校3年の男子生徒(18)は「医師免許の国家試験で医師としての能力をみればいい。少なくとも医師への入り口となる入試では性別にかかわらず、公正に優秀な人材を合格させるべきだ」と話す。

医学部専門予備校「メディカルラボ」(本部・名古屋市)によると、模擬試験でほぼ同じ偏差値の男女が受験しても男女で合格率が異なる私立大医学部は7割を超える。

「学科試験だけではここまで差が出ないはず」という本部教務統括の可児良友さんは「全ての私立大医学部で面接試験がある。面接で女子が不利になる場合があるのではないか」とみている。

予備校では「医学部によって男女の合格率に差がある」という前提で女子生徒に受験先の変更などをアドバイスすることもあるという。

日経調査に対し、福島県立医大、東京大、富山大、帝京大の4大学は志願者数などの男女比を明らかにしなかった。調査では私立大のほか、国公立大でも男女で合格率の格差が大きい医学部があることが判明している。

国公立大では受験者数が予定倍率(3倍など)を超えた場合、センター試験の点数で2次試験の受験者数を絞り込む予備選抜を実施する医学部もある。ところが調査では予備選抜では女子が男子をやや上回っているのに、2次試験で男子が逆転していた。

「2次試験の中心となる理系科目は一般的に男子が得意。男女差が出るのは仕方がない」という声もある。だが文部科学省の学校基本調査(2017年度)によると、獣医・畜産学や歯学など他の理系学科では女子の合格率が男子より高い学科が多く、「理系科目は男子が得意」という根拠は曖昧だ。

医学部入試で男女で合格率に違いがある現状について、メディカルラボの可児さんは「もし性別も合否の判断材料にしているならば、受験生に明示してほしい」と話している。

■「採用試験」の側面が影響か
 医学部入試が、医療系を含めた他の学部と大きく異なるのは将来、付属病院などで働く医師を確保する「採用試験」の側面がある点だ。
 今春入試で東京医大以外で女子の合格率が低かった医学部は「男女間で恣意的な評価基準の差をつけていない」(山梨大)、「成績順で発表している」(聖マリアンナ医大)などと性別による合否判断を否定している。
 大学の付属病院で初期研修を受ける6割超は卒業生で占められ、多くは教授をトップとする「医局」に属し、付属病院や関連病院で働く労働力になる。ある医学部の元教授は「出産などで現場を離れることがある女性が多いと"医局人事"が回りにくくなる」として女子の合格率を抑える必要性を指摘する。
 だが女性も働きやすい環境づくりが先決だ。医学部が求める医師の適性を学力以外で判断することは裁量であっても「採用試験」を理由に女子の合格率を不当に下げていないか解明が必要だ。
(前村聡)

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