2018年10月19日(金)

FRB議長「物価過熱の兆候ない」利上げ打ち止め近づく

経済
北米
2018/8/24 23:00
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【ジャクソンホール(米ワイオミング州)=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は24日の講演で「物価上昇率は2%を超えて過熱するリスクはみえない」と主張した。当面は「段階的な利上げが適切だ」としたものの、過度な引き締めは不要で、利上げの打ち止め時期が近づいたと示唆したものだ。FRB内には、早ければ19年中に利上げを打ち切る案も浮上している。

パウエルFRB議長は利上げの打ち止め時期が近づいていることを示唆した=AP

主要国の中央銀行高官らが集う国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で話した。「物価上昇率は(目標の)2%に近づいたが、過熱リスクの高まりはみられない」などと主張。そのうえで「段階的な利上げによって米連邦公開市場委員会(FOMC)が分析する中立的水準に近づいてきた」とも指摘した。

中立的水準とは、景気を過熱させず冷やしもしない状態の政策金利の水準を指しており、FOMC参加者は2.9%(中央値)とみる。米政策金利は1.75~2.00%と歴史的な低水準が続くが、パウエル氏は物価の過熱リスクは小さいと指摘して、中立水準を超える過度な引き締めを回避する考えをにじませた。

パウエル氏は「米経済は強い」とも主張。「力強い成長が続けば、さらなる段階的な利上げが適切になるだろう」と指摘した。「利上げを急ぎすぎれば無用に景気拡大の腰を折り、利上げが遅すぎれば景気過熱リスクを招く」と述べ、中立的とみる2.9%程度までは政策金利を緩やかに引き上げる考えを強調した。

次回のFOMCは9月下旬に開く。パウエル氏の発言は次回会合の利上げを示唆したもので、金融市場も既に早期の引き締めを織り込んでいる。次回会合では19年以降の金融政策シナリオも公表するが、利上げの打ち止め時期をどこまで明示するかが次の焦点となる。

パウエル氏は24日の講演で利上げの停止時期を具体的に示唆するのは避けた。FRBが現在のように3カ月おきに利上げを決断すれば、中立的な金利水準とする2.9%には19年半ばに到達する。FRB内には「9カ月後か12カ月後には利上げ路線からいったん離れるべきだ」(ダラス連銀のカプラン総裁)と19年中の利上げ停止を主張する高官もでてきた。

パウエル氏は講演で1990年代後半の「ニューエコノミー論」を取り上げ、インフレ率が低いままでも高成長が続く可能性を指摘した。当時のFOMCでは景気拡大によってインフレリスクが高まっているとの声が強まっていたが、議長だったグリーンスパン氏は物価動向を見極めるために利上げを見送り続けた。

パウエル氏は「物価が2%を超えて過熱する兆候はない」と、過度な引き締めを避ける考えを強調する一方、90年代後半を引き合いに「物価上昇の兆しが明確になれば利上げを継続すればよい」とも指摘した。利上げ停止が近づくと示唆するだけでなく、インフレ傾向が強まれば利上げを続ける方針も堅持している。

23日夜に開幕したジャクソンホール会議は3日間の日程。24日のパウエル氏の講演で実質的な討議が始まった。日銀からは若田部昌澄副総裁が参加するが、黒田東彦総裁は欠席した。

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