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働き方改革で「成功する副業」の秘訣

仕事に効くスキル)ReBoost代表の河合聡一郎氏に聞く

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

働き方が多様化するなか、副業を認める企業も増えている。副業には収入増だけでなく、自分の知識やスキルを高め、将来の起業や独立に向けた経験を積めるという側面もある。自らも副業の経験を持つ、組織人事コンサルティング会社ReBoost(東京・中央)代表の河合聡一郎氏に聞いた。

――副業に興味をもったら、どんなことから準備すればいいでしょうか。

「自分の経験を応用できるか、相手にどれぐらい還元できそうかを考えるのが大切だ。現在の仕事と全く関係ないことではなく、本業での経験を生かせることを考えた方が近道だ。本業で成果が出ていない人が、全然関係ない分野の副業に手を出しても成功確率は低いだろう」

「私の場合、大手の人材会社やベンチャー企業の立ち上げ、外資系IT企業で営業を経験した後、印刷関連のスタートアップ企業の創業メンバーとして働いた。採用や組織戦略などの人事業務全般をやる中で経験値が上がり、他のスタートアップから相談が舞い込むようになった」

――仕事の依頼が来た場合、引き受けるかどうかの判断のポイントは。

「まずは簡単な打ち合わせをして相手が何を解決したいのか、自分がどこまでの範囲で貢献できそうかを把握することが大事だ。本業を抱えている中でどこまで時間を割けるか分からない。最初から期待値を上げないほうが賢明だ。互いに興味を持てれば、もう一度会って具体的な契約条件を話し合うといい」

――契約書にはどんなことを書くのですか。

「業務の範囲や成果となる納品物、頻度のほか、納品物が先方に帰属するか、自分に帰属するかも確認しておきたい」

「副業を始めた後に急に本業が忙しくなることもある。最初の1カ月は試用期間のような位置づけとし、その後は3カ月ごとに契約を更新するのも一案だ」

ReBoost代表 河合聡一郎(かわい・そういちろう)氏 2003年法政大経営卒。リクルート、ビズリーチ、コニカミノルタなどを経て、10年にラクスル創業に参画。人事・組織戦略の傍ら、スタートアップの創業や出資を手がける。17年にReBoost設立、代表取締役。

「一番難しいのは値決めだ。自分の仕事の値段の把握は難しい。最初は『どのぐらいの予算感で考えてますか』と相手の会社に聞くといい。相対で契約するのでなく相場観を知るためにはクラウドソーシングなどの仲介サイトを活用する方法もある」

――所属する会社で必要な手続きは。

「会社によって副業の扱い方が異なる。所属会社が就業規則で副業をどのように扱っているかをきちんと見た方がいい。基本的には就業時間中の副業は問題があるケースが多い。平日夜や土日などの就業時間外の扱いも見るべきだ。就業後に無償のボランティアはいいが、報酬が発生するとダメという場合もある。副業ができる場合でもパソコンなど会社の機器を使っていいかどうかも確認しておきたい」

――時間の使い方で注意する点はありますか。

「仕事のボリュームを見誤ると痛い目に遭う。副業の仕事を引き受けすぎて、本業がおろそかになっては本末転倒だ。プライベートな時間を削るなど副業の『原資』をどこで捻出するか考えておいた方がいい」

――副業で発生する収入や費用の扱いは。

 「一定の金額以上を稼ぐと確定申告が必要になる。副業の収入が大きくなることが予想される場合、税理士に相談するのがいいだろう。また副業で使った経費は依頼者に請求できる場合がある。原価をどちらが負担するかも契約時に線引きしておいた方がよい」

――副業が軌道に乗れば、独立や起業の選択肢も出てきそうです。

「お金が欲しいのか、将来の起業が前提なのかなど、副業の目的は何かに立ち返るといいだろう。実績を積み重ねる中で、自分がここで勝負するというのが分かってきたら、起業するのもいいだろう」

「起業を勧めるのは副業をやる中で自分が人生をかけてチャレンジしたいと思うミッションを見つけた場合だ。もし自分のやりたいことが他の会社でできるのであれば、転職を検討してもよい」

――河合さんの場合、起業したことで副業時代と何が変わりましたか。

「時間は増えるが、同時に会社の経営に割く時間が必要になった。そこで請求書や顧客管理などはクラウドサービスを活用し、効率化している。自分の時間が一番の資源であることを起業後、改めて意識するようになった」

「仕事の質を高めるには定期的なインプットも欠かせない。自分に何が足りないかを考え、本を読んだりセミナーに参加するなど最新知識を吸収している」

――起業すると、時間管理が難しそうです。

「例えば、顧客とのミーティングを朝9時から入れるとペースメーカーになる。私の場合、副業時代は多いときで支援先は7社だったが、今では30社弱に増えた。自分の事業が終わると会社も終わってしまうのが、いい意味での緊張感になる」

「頼まれる仕事を何でも引き受けるのは考え物だ。自分が得意ではない分野の仕事を引き受けると、成果を十分に出せず、結果的に顧客に迷惑をかけてしまう」

(聞き手は鈴木健二朗)

[日経産業新聞8月27日付]

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