AIでなくなりそうなのは「銀行」 就活生に調査
就活生の半数は、人工知能(AI)の発達でなくなる職種を意識して企業選びをしている――。就職情報大手のリクルートキャリアが24日発表した来年入社予定の学生向け調査でこんな意識が明らかになった。人工知能の発達でなくなる可能性がある業種では「銀行・信用金庫など」、職種では総務や経理、人事など「事務・スタッフ関連職」がそれぞれ約6割でトップだった。

銀行、信金、生保、証券
調査は同社の新卒就職情報サイト「リクナビ」で8月1~8日に実施。登録する大学生モニター1343人から回答を得た。
AIの発達により、なくなる可能性のある職業を意識して就職先の業界や職種を検討したことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した学生は46.9%だった。理由には「将来安定した職に就くにはAIではできない仕事を選んだ方がよいと感じた」、「レジが無人化しているのを目の当たりにしたから」という声があった。
AIの発達でなくなる可能性があると考えた業種を複数回答で聞いたところ、「銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫」が59.4%と目立って高かった。次いで「生命保険・損害保険」(31.2%)、「証券」(29.0%)と金融業が続いた。
リクルートキャリア就職みらい研究所の増本全・主任研究員は「もともと学生の人気の高いメガバンクが昨年の秋ごろに採用抑制と併せてAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用を明かした。学生の注目と代替可能性への意識が高まったのではないか」と見ている。ただ実際に置き換わるのは定型業務の多い窓口業務などに限られ、学生のイメージが先行しているともいえる。
トレーダーやディーラーも
AIの発達でなくなる可能性のある職種を複数回答で聞いたところ「事務・スタッフ関連職(営業推進・経営企画・法務・総務・人事・経理・広報など)」が59.2%で最も高かった。次いで「金融スペシャリスト(トレーダー・ディーラー・融資・証券アナリストなど)」が36.5%、「生産・品質管理・設計関連職」が28.9%で高かった。
一方でAIを用いた選考に対しては「よいと思う」「少しよいと思う」の合計が53.2%と前年から1.2ポイント高まった。「移動時間や日程調整の負担が軽減される」(77.7%)、「人よりも先入観なく公平公正に評価される」(64.2%)と好意的な反応の一方、「自分の気持ちや印象、態度が評価されない」(76.3%)、「一緒に働くのは人間なので人間が評価すべき」(69.4%)とまだ懸念が根強く残っているようだ。
大学生の8月1日時点の内定率(内々定を含む)は88.0%だった。前年同期よりも3.8ポイント上昇し、7月1日時点から6.2ポイント高まった。入社先など進路を決定した学生の割合は78.5%で、7月から12.4ポイント伸びた。

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