2018年12月18日(火)

サイバー攻撃、AIで監視
欧州IT企業キーマンに聞く(6) 英ダークトレース技術責任者 パルマー氏

2018/8/24 7:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

データ利用の拡大とともに大きな課題となっているサイバーセキュリティー。人工知能(AI)による新しい監視技術で多くの顧客を獲得し、いわゆるユニコーン企業として注目されるのが英ダークトレースだ。創業者の1人で技術責任者を務めるデイブ・パルマー氏に、最新のセキュリティー対策について聞いた。

デイブ・パルマー氏

デイブ・パルマー氏

――これまでのセキュリティー対策とは何が違うのでしょうか。

「従来の対策は、サイバー攻撃があると、そのウィルスなどを解析し、パターン分析によって新たな攻撃を防いできた。我々はそうした方法をとらず、AIで不審な動きを察知する。というのも最近のサイバー攻撃は様々な形が登場しており、単純なパターンには当てはまらなくなっているからだ」

――身代金を狙ったランサムウエアも増えています。

「知的財産などを狙った標的型攻撃やランサムウエアなどサイバー攻撃も多様化している。あらゆるものがネットにつながるIoTの登場で、センサーなども攻撃の対象となってきた。政府間の攻撃もある。また社内でも仮想通貨の採掘作業に会社のコンピューターを使ったり、データを持ち出したりするといった内部犯行が増えている。まさにAIによる監視が非常に効果的になっている」

 Darktrace AIを使ったセキュリティー対策の技術会社として2013年に創業。わずか5年で顧客企業が7000社を超え、想定時価総額が10億ドル規模の非上場企業を表す「ユニコーン」として注目される。従業員数は約730人。うち日本は15人。パルマー氏は「ディレクター・オブ・テクノロジー」として技術戦略を担う。

――どんな企業が採用していますか。

「現在、世界105カ国で約7000社の企業に採用されている。英通信大手のBTグループなど重要インフラ企業が我々の主要顧客だ。日本には3年前にオフィスを設け、楽天や大手金融機関などが利用している」

――創業者の1人だとお聞きします。

「私は12年まで英国政府の情報収集部門でセキュリティー対策の仕事をしていた。特にロンドン五輪での安全対策が大きな仕事だった。その経験からAIによるセキュリティー対策を思いつき、仲間5人で設立したのがこの会社だ。英国政府が16年から企業に対しサイバーセキュリティー対策を義務づけたことも成長の追い風となった」

――この分野では珍しいユニコーン企業として期待されています。

「英国では政府のヘルスケアサービスや年金の運用部門などがサイバー攻撃にさらされ、安全対策への期待が高まっていることも影響している。時価総額は12億5000万ドルという評価だ。成長を見込んで、日本のソフトバンクや韓国のサムスン電子なども我々に出資している」

――日本では2020年に東京五輪があります。英国に学ぶところは?

「日本のオリンピック関係者とは開催が決定したころから定期的に交流している。ロンドン五輪でも非常に多くのサイバー攻撃があった。こうしたイベントでトラブルが起きると、レピュテーションリスクが大きい。放送局なども攻撃対象となっており、日本と英国はもっと協力できる部分があると思う」

――サイバーセキュリティー対策で今後重要なことは何ですか。

「行政や企業ではもちろんのことだが、国民に対しても教育が最も重要だ。最近はスマートフォンやスマートホームなどの普及により、簡単にウィルスなどが忍び込む可能性が高まっている。自分のデータは自分で守るという教育を国を挙げて進めていく必要があるだろう」

(聞き手は編集委員 関口和一)

=おわり

[日経産業新聞 2018年8月24日付]

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