2018年9月26日(水)

リラ急落から2週間 トルコ、売り一服も遠い信認

トルコショック
中東・アフリカ
2018/8/24 6:30
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 【イスタンブール=篠崎健太】通貨リラの対ドル相場が1日で2割近く急落したトルコショックから、24日で2週間を迎えた。過去最安値の1ドル=7.2リラ台からは持ち直したが、利上げは封じつつ小手先の対策で乗り切ろうとする当局の姿勢に、市場は疑念を深めている。信認回復にはほど遠いとの見方が多く、イスラム教の祝祭連休から戻る週明け以降の売り再開に警戒感は強い。

エルドアン大統領は「経済戦争だ」と対米強硬姿勢を緩めない(18日、アンカラ)=ロイター

 リラは13日に付けた最安値から約2割戻した水準で膠着。今週は1ドル=6リラ前後で一進一退となった。下げ止まったのは、為替スワップ取引の制限で投機的な売りがいったん鎮まった効果が大きいとみられている。

 トルコの銀行監督当局は15日にかけて、国内銀行が外国投資家と行う為替スワップの取引量を、自己資本の25%までとする規制を導入した。縛りをかけたのはリラと外貨を一定期間交換する取引だ。これにより投機筋が空売り目的でリラを調達するのが難しくなり、連休前ともあって売りをいったん手じまう動きにつながった。

 だがこの制限は副作用をはらむ。為替スワップは為替変動リスクの回避(ヘッジ)にも使われており、外国投資家によるトルコの金融商品への資金配分を妨げかねないからだ。さらに、トルコ企業による外貨建て負債の為替ヘッジを難しくするとの見方も出ている。目先のリラ安を抑え込めたとしても、資金調達を国外に頼るトルコにとってはじわじわと痛手になる可能性を秘めている。

 米ゴールドマン・サックスは直近のリポートで、リラの安定には「大幅な利上げと包括的な財政計画、米国との緊張緩和が必要だ」と指摘。為替スワップ制限や、カタールが支援を表明した1兆6千億円規模の対トルコ直接投資の効果は疑問だとした。1年後のリラ相場の予想を従来の1ドル=5.5リラから7.5リラへ大幅に切り下げた。

 エルドアン大統領が「金利のわなには落ちない」などとけん制するなか、中央銀行が通貨安やインフレに対処するための金融引き締めに動かないことも、投資家のいらだちを強めている。

 9月3日に発表予定の8月の消費者物価指数(CPI)は、リラ安を受けた値上げにより、前年同月比の伸び率が7月(15.85%)から大きく広がるのが確実だ。9月13日の次回の金融政策決定会合でトルコ中銀が思い切った動きを見せなければ、その独立性を危ぶむ市場で失望がさらに深まるのは避けられない。

 「政治家の対応は場当たり的で、マクロ経済と金融政策の不均衡に対処しようとしていない」。仏ソシエテ・ジェネラルのフェニックス・カレン氏はこう断じ、リラ相場は18年末までに1ドル=8リラまで下落する可能性があるとの見方を示す。

 対米関係の悪化に端を発したトルコショックは、市場対応が失望を招く形で混迷の度を濃くした。実体経済が深刻に傷ついた末の通貨危機ではなく、当局者の姿勢が変われば状況は改善に向かう可能性がある。トランプ米政権の対トルコ経済制裁をめぐる動向とともに、大型連休明け27日から動き出すトルコからの情報発信を投資家は注視している。

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