2019年1月24日(木)

外食も「呉越同舟」 吉野家・ガストが共通割引券

2018/8/23 15:01
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吉野家ホールディングス(HD)とすかいらーくホールディングス(HD)は23日、「吉野家」や「ガスト」などで使える共通の割引券を発行すると発表した。市場飽和や人手不足で新規出店が難しくなるなか、既存店の集客力を高めようと外食大手同士が異例のタッグに乗り出す。物流などで進む「呉越同舟」の動きが外食にも広がってきた。

「航空会社のアライアンスに似ている。中食などいろんな選択肢がある中で、私たちのお店に来てくれる人が増えれば」。23日の記者会見に「外食大好き」と書かれたTシャツ姿で現れたすかいらーくレストランツの崎田晴義社長はライバルと組む狙いをこう説明した。

3店舗共通の定期券を発表した(左から)吉野家の河村泰貴社長、すかいらーくレストランツの崎田晴義社長、はなまるの門脇純孝社長(23日午後、東京都中央区)

3店舗共通の定期券を発表した(左から)吉野家の河村泰貴社長、すかいらーくレストランツの崎田晴義社長、はなまるの門脇純孝社長(23日午後、東京都中央区)

■全国3000店舗で使える

今回発行する「合同定期券」が使えるのは吉野家HDが展開する「吉野家」(国内1203店)と「はなまるうどん」(同472店)、すかいらーくHDの「ガスト」(同1367店)。吉野家HDの河村泰貴社長は「1日あたりの来客数は3店合計で117万人。店舗を使いわけてもらうことで相互送客の効果が高まる」と期待を寄せる。

3社合同の定期券を発行。9月10日から使える(23日、東京・中央)

3社合同の定期券を発行。9月10日から使える(23日、東京・中央)

各店舗で販売する定期券は300円。それぞれの店頭で提示すると、9月10日から10月21日の間、吉野家は80円、ガストは100円引き、はなまるは天ぷら1個(100~170円)が無料となる。期間中であれば何度も利用できるため、定期券の購入者は3回程度で元を取ることができる計算だ。

もともとこの定期券は吉野家HD傘下の吉野家とはなまるが昨年始めた取り組み。吉野家に女性客が増えるなどの効果が見られたことからすかいらーくに参加を提案したという。「外食をとりまく経営環境は年々厳しくなっている。それぞれの会社で消耗戦をやっていてもしょうがない」。吉野家の河村社長はこう強調し、今後も会社やブランドを超えた連携を積極的に進める考えを示した。

■客層違い「はしご」効果

定期券が使える3チェーンは駅前や郊外のロードサイドなど似たような立地にある。ただ業態や客層が違うことから、相互送客の効果があると判断した。吉野家とはなまるはビジネスマンの需要が多い一方で、ファミリーレストランのガストは家族層の需要が中心だ。

例えば平日の昼に吉野家で牛丼を食べたビジネスマンが、休日に家族とガストで夕食をとる、といった「はしご」効果が期待できると判断した。すかいらーくレストランツの崎田社長は「外食初のコラボで過去のデータはない。今回で効果をしっかり学び、次に生かしていきたい」と話す。

日ごろは客を取りあう外食チェーン同士があえて手を組むのは、出店を繰り返すことで成長する外食の大量出店モデルが曲がり角を迎えているためだ。

17年の外食市場は0.8%増の25兆円。人口減少や市場の飽和で伸びは鈍化している。さらに外食各社は深刻な採用難に直面しており、新規出店を支える人材やアルバイトの確保が極めて難しくなっている。

そのため大手外食チェーンにとっては既存店のテコ入れがかかせなくなっている。ガストでは20組に1組が無料になり、当選客には店員がお祝いをする「ごちガスト」を展開。吉野家は健康効果のある牛丼やセルフ式の新型店の実験などに動いている。こうした新たな付加価値を実感してもらうためにも、キャンペーンを通じて、新たな客層を店舗に呼び込む考えだ。

■中食シフトに危機感

それ以外にも外食産業は逆風が吹く。1つが総菜や弁当など「中食」市場の急激な伸びだ。日本惣菜協会によると、総菜や弁当などの中食市場は17年に前年比2.2%増となり初めて10兆円を突破した。共働きや単身世帯の増加により、コンビニエンスストアやスーパーなどで調理済みの食材を買い家で食べる中食が外食から需要を奪っている。経営面でも人件費や原材料費、不動産の賃料が上昇傾向で、ただでさえ大きくない利益率をさらに圧迫している。

まさに市場縮小に人手不足、さらにコスト増の「三重苦」という状況で、ロイヤルホールディングス(HD)とリンガーハットが食品の共同配送に乗り出すなど外食各社にも連携する動きが出始めている。これまで客や店舗の立地、アルバイトなどを奪い合ってきた外食各社だが、今後は他社とどう提携するかも重要な経営のテーマとなりそうだ。

(江口良輔)

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