2018年11月14日(水)

人と働く「コーボット」開発相次ぐ 米欧新興勢が主役

CBインサイツ
米巨大ITへの逆風
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コラム(テクノロジー)
(3/3ページ)
2018/8/27 2:00
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先進国の間では、労働コストが高くても国内生産を増やす動きも広がっており、ロボットの普及で生産拠点を米国に回帰する「リショアリング」が増えている。

ボストンコンサルティンググループが15年に実施した調査では、調査の対象となった米メーカーの20%が生産拠点を中国から米国に積極的に移しているか、今後2年間でそうする予定だと回答した。

企業は従来の労働力や「スマートではない」ロボットよりもコストが安いコーボットに目を向けつつある。大企業だけではない。テラダインのグレゴリー・ビーチャー最高財務責任者(CFO)は1月の決算発表でコーボットの顧客の約半数が中小企業だと述べた。

コーボット市場はまだ群雄割拠の状態だ。当面の課題は市場の認識不足だろう。URは「コーボットについて本当に理解しているのは、おそらく当社のターゲット市場の10%にとどまる。つまり、90%の可能性は開拓されていない」と言う。

■倉庫・ネット通販

アマゾンのような大手でも物流センターでの労働者の確保には苦労している。17年8月に開催した鳴り物入りの雇用イベント「ジョブズデー」の応募者は2万人で、目標の5万人を大きく下回った。

アマゾンが倉庫用ロボットメーカーの米Kiva Systems(キバ・システムズ)を7億7500万ドルで買収したのを機に、ロボットメーカー間の開発競争の火ぶたが切られたとされる。

一方、ネット通販ブームで倉庫スペースの需要も爆発的に増えている。倉庫で協働ロボットの需要が増えているのも驚きではない。

ネット通販ブームで業界全体が期日通りに注文を配達する圧力にさらされているため、配送効率の改善を手がけるロボットスタートアップ企業が爆発的に増えている。多くはキバのように、資材を運んだり商品を取り出したりするAGVの開発に取り組んでいる。

例えば、米Seegrid(シーグリッド)などは荷積みやフォークリフト作業、カナダのClearpath Robotics(クリアパス・ロボティクス)傘下のOtto(オットー)は資材運搬に注力。米Fetch robotics(フェッチ・ロボティクス)と米6 River Systems(6リバー・システムズ)は倉庫の棚から商品を取り出す移動ロボットを手がけている。

協働型の移動ロボット、倉庫でのスタンダードに

協働型の移動ロボット、倉庫でのスタンダードに

消費者の購入量が増えるほど、様々な商品を取り出して箱詰めするロボットの必要性も高まる。米Kindred(キンドレッド)の仕分けロボット「ソート」(写真下左)は、米衣料品チェーン大手ギャップの配送センターで商品を仕分けるために試験導入されている。一方、米Righthand Robotics(ライトハンド・ロボティクス、写真下右)はネット通販の商品の取り出しを担う。

倉庫のROIは高いため、スタートアップ各社は好調なこの分野向けの技術開発を続ける可能性が高い。例えば、アマゾンは先日、様々な新型ロボットにどれほど資金を投じているかを公表。中国のネット通販大手、京東集団(JDドットコム)も、1日最大20万件の注文を処理できる延べ床面積10万平方フィートの施設を公開した。この施設には従業員は4人しかいない。

■農業

米農機大手ディアが米Blue River Technology(ブルーリバー・テクノロジー)を3億500万ドルで買収したのを受け、17年に農業ロボットへの関心が大きく高まった。

自動運転トラクターから摘み取り用ロボットアームに至るまで、スタートアップ各社は農機の自動化に取り組んでいる。

深刻な人手不足と移民規制の強化でカリフォルニア州では昨年作物をほとんど収穫できなかったため、農業ではロボットで労働力を増強する時期にきている。この分野に取り組んでいるのが、イチゴの収穫を手がける米Agrobot(アグロボット、写真下)だ。ロボットにとって、イチゴを潰さずに収穫するのは難しい作業だ。

17年に米NPOのSRI International(SRIインターナショナル)から分離独立した米Abundant Robotics(アバンダント・ロボティクス)は、リンゴ園向けに似たような収穫ロボットを開発した。同社はGoogle Ventures(グーグル・ベンチャーズ)やヤマハ・モーター・ベンチャーズなどのVCから1000万ドルを調達している。

農業用の資材運搬ロボットを提供する米Harvest Automation(ハーベスト・オートメーション)や、搾乳ロボットを手がけるオランダのLely(リリー)なども、コーボットの新たな利用法を編み出している。

■外食産業

コーボット各社は一般に離職率が高い外食産業にも狙いを定めている。外食各社は十分な人員を確保できない事情からロボットに投資しているのだ。

新興の外食各社は調理プロセスを自動化しようと、専用AIやコーボットアームを取り入れている。南カリフォルニアの外食チェーンCaliBurger(カリバーガー)は今年3月、米Miso Robotics(ミソ・ロボティクス)が開発したハンバーガー用のパテをひっくり返すコーボットアーム「フリッピー」(写真上左)を試験的に導入した。米公共ラジオ局NPRによると、このバーガーボットは現在6万ドルで販売されているという。

別の自動ハンバーガー店、米Creator(クリエーター、写真上右)はコンピューター20台、センサー350台、アクチュエーターシステム50台を駆使し、価格6ドルのバーガーを5分で提供する。ロボットが作ったバーガーを人間が顧客に運ぶという協働といえる。

飲み物に関しては、米Hypergiant(ハイパージャイアント)が注文に応じたカクテルを提供するAIバーテンダー「フラナガン」を開発するために、米外食大手TGIフライデーズと提携すると発表した。

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