2019年5月24日(金)

共英製鋼、5カ月ぶり値上げ 先細りの鉄筋メーカー、再編も加速

2018/8/22 18:40
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鉄筋を手掛ける電炉メーカーがコスト上昇の逆風を受けている。共英製鋼は22日、マンションの鉄筋などに使う異形棒鋼の9月分の販売価格を1トンあたり2000円(約3%)引き上げると発表した。値上げは5カ月ぶり。背景には資材価格の上昇や人手不足による輸送費の値上がりなどがある。鉄筋は国内需要の先細りも懸念され、業界再編の動きが加速しそうだ。

同社は2017年12月分~18年2月分にかけて3カ月連続で値上げを実施。今年4月分も値上げし、その後は値上げの浸透を図るために価格を据え置いてきた。だが「十分に浸透が図れていない上にコスト上昇要因が大きく、値上げが追いついていない」(坂本尚吾取締役)。現在、異形棒鋼の市況価格(大阪、16ミリ)は6万9000~7万円前後で推移している。

電炉メーカーのコストを圧迫する要因の1つは、黒鉛電極の原材料となるニードルコークスの高騰だ。電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池の負極材向けなどで需要が増加。価格は「1年前に比べて2~3倍」(坂本取締役)。耐火物や合金鉄の価格上昇や人手不足による輸送費の値上がりも響く。

鉄筋メーカーが抱える問題は業界の商習慣にもある。棒鋼は加工会社などに直送する場合が多く、契約時点で価格を確定させるため、納期が1年以上先になる大型物件などの場合は、価格変動リスクにさらされるからだ。

そのため共英製鋼は7月、商習慣の見直しを打ちだした。18年度の下期以降は、原則として1年以内の案件を受注し、市況が変動した場合には価格変更を提案できるようにするとした。

業界再編の動きも活発化しそうだ。8月6日には合同製鉄が同業の朝日工業に対してTOB(株式公開買い付け)を実施して子会社化する方針を発表した。4月には東京鉄鋼が伊藤製鉄所との経営統合に向けて資本・業務提携を結んだ。

関西には電炉メーカー上位10社中5社が本社を置く。そのうち独立系の大和工業を除く4社はそれぞれ新日鉄住金が出資するグループ会社だ。業界関係者は「新日鉄住金グループを中心に再編が進む」と予測する。

足元では需要が底堅く、原材料の鉄スクラップ価格が想定を下回ったことや値上げの効果などで収益が安定している。だが東京五輪が開催される20年以降の需要環境は不透明だ。市場の大幅な拡大は見込めない中、各社は早急に対応策を考える必要がある。(長田真美)

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