雇用主や職場の上司から虐待を受けた障害者は2017年度に1308人だったことが22日、厚生労働省のまとめで分かった。前年度比336人(35%)増加し、13年度の集計開始以来、最多だった。
厚労省は「障害者虐待防止法の周知が進んだことやハラスメント防止の意識が高まり、通報や相談が増えたと考えられる」と分析している。
調査は、虐待の通報や情報提供があった全国1483事業所を対象に、都道府県労働局が直接事業所を訪問するなどして事実確認をした。
虐待の種類別では複数にわたる場合を含め、最低賃金より低い額で働かせるなどの「経済的虐待」(1162人)が最も多く、暴言などの「心理的虐待」(116人)が続いた。事業主から殴られるなどの「身体的虐待」を受けた人も80人に上った。
精神障害があり、卸売業で働くある契約社員は採用面接で「健常者なら時間給900円だが、障害者だから800円だ」などと不当な条件を示された。就労後、賃金の見直しを求めたが受け入れられず、労働局から改善の指導があるまで通常より低い賃金で働かされていた。