2019年6月25日(火)

光ファイバー網、IoTで需要が急拡大
欧州IT企業キーマンに聞く(4) 英コルトCCO リージェント氏

2018/8/22 7:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

データ量の急速な拡大に伴い、需要が高まっているのが都市部のデータセンターやビル向けの光ファイバー網だ。企業向け通信会社として欧州やアジア太平洋など主要50都市に高速通信サービスを展開する英コルト・グループの最高営業責任者(CCO)、トム・リージェント氏に今後の事業戦略を聞いた。

英コルト・グループCCO トム・リージェント氏

英コルト・グループCCO トム・リージェント氏

――通常の通信会社のサービスとはどこが違うのでしょうか。

「1980年代後半から欧州で通信事業が自由化された際に、ロンドンなど大都市で企業向けの通信サービスを始めたのが我々だ。米投資信託大手、フィデリティのグループ企業で、同様な事業を日本で展開していた同じグループのKVHを7年前に傘下に収めた。都市部に専用の光ファイバー網を持ち、それをグローバルにつないでいる」

――データ需要が高まっています。

「私が入社したのは1年半前だが、新たなデータセンター戦略をスタートした。5億ユーロ(約630億円)を投じ、自前のデータセンターを整備する一方、グーグルやアマゾン・ドット・コム、IBM、マイクロソフトなどのクラウドをつなぎ、安全で高速なデータ通信を可能にした。『コルトIQサービス』と呼び、世界800のデータセンターとつないでいる」

――利用が増える理由は何ですか。

「あらゆるモノがネットにつながるIoTの登場で、データ量がエクスポネンシャル(指数関数的)に増えている。グーグルやアマゾンなど、消費者向け情報サービスの成長も大きい。これまで金融機関や多国籍企業が主要な顧客だったが、今は情報サービス企業が増えている。次世代通信規格『5G』の期待も高い。5Gの拡大はバックボーンとしての光ファイバー網の需要拡大を意味する」

Colt Group 1992年に米投資信託大手、フィデリティの出資により英ロンドンで創業。企業向けにIP電話、ネット接続、クラウドサービスなどを展開する。96年上場。2011年に日本のKVHを傘下に収め、欧州やアジア太平洋の50都市を中心に約180カ国で事業を展開。現在は非公開のため売上高は非公表。リージェント氏はグローバルな営業戦略を担う。

――データサービスには大手の通信会社も力を入れています。

「我々はもともと企業向けに事業を始めたため、ビル内までアクセスできるインフラを持っているのが強みだ。しかも世界の大都市を専用ネットワークでつないだことで、地域の通信会社には難しいグローバルなプラットフォームを提供できる。企業のシステム部門は急激なデータの増大に悩まされているため、必要に応じて通信リソースを提供できる通信網の仮想化技術にも力を注いでいる」

――日本ではどんな企業が利用していますか。

「全日本空輸や映像制作大手のIMAGICA、ほかにもグローバルに事業展開している金融機関の多くが利用している。顧客数は2800社に上る」

――以前は大手の通信会社で働いていたと聞きます。

「BTやAT&T、IBMの通信部門など通信業界は25年以上になる。いずれも従業員が何万人もいる独占体質の企業だった。それに比べコルトは約5000人。非公開企業なので四半期ごとの数字も気にする必要がない。長期戦略のもと俊敏に動けるのが我々の利点だ」

――今後の課題は何ですか。

「通信ではインターオペラビリティー(相互運用性)が重要だが、2年前にはAT&Tとも相互接続を実現した。これからはブロックチェーン(分散型台帳)技術などの活用が重要になろう。すでに料金計算などに同技術を活用している通信会社もある。そうした新しい機能も一緒に提供できるようにしていきたい」

(聞き手は編集委員 関口和一)

[日経産業新聞 2018年8月22日付]

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