ロボ?かご?新天守バリアフリーどう実現 名古屋城

2018/8/21 20:53
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名古屋城天守閣の木造復元では、エレベーター(EV)の代わりに「新技術」を導入する方針が打ち出されている。二足歩行ロボット、「人工筋肉」……。7月下旬の名古屋市の説明会で、障害者の補助や介助のため様々な案が提案された。ただ実現性や安全面で疑問の声は相次ぐ。市が目指す「史実に忠実な復元」とバリアフリーを両立する手法は見つかるだろうか。

テムザックが早大と共同開発した二足歩行補助ロボット「WL-16R2」

メイドーが開発を検討するカーボン素材を利用した駕籠(かご)。

日立システムズのパワーアシストスーツ

「復元までに開発は可能だ」「できるだけ努力したい」。7月下旬、式典などに使われる市役所の正庁。障害者団体も参加した新技術に関する説明会で、4社がそれぞれの技術を披露した。

江戸時代の天守閣を再現すると、階段の傾斜は最大55度に及ぶ。そこを障害者らが安全に昇降できる技術が必要になる。

テムザック(福岡県宗像市)が紹介したのは、早稲田大と共同開発した二足歩行補助ロボット。高齢者が腰を掛けて使うためのもので、センサーが段差を認知するとシリンダーが伸縮し、1段ずつ上る仕組みだ。

車いすの障害者にとっては乗り換えが必要になる。地震の際などの安定性にも課題もあるが、高本陽一社長は「正式に発注されれば、他の昇降手段も含めて一気に開発を進める」と話す。

日立システムズ(東京・品川)は、圧縮空気で伸縮するゴム製の「人工筋肉」でできたパワーアシストスーツを提案した。背中に装着すると、持ち上げる力を約25キロ強化できる。使用時に電源は不要で軽量という。

ただ介助者が身に着けても、車いすに乗った障害者を持ち上げて急階段を昇降するのは難しい。他の手法と組み合わせての利用を想定している。

自動車部品製造のメイドー(愛知県豊田市)が開発する「駕籠(かご)」はカーボン素材を利用。軽く、江戸時代の風情も味わえる。ただこれも車いすから降りる必要があり、介助者が実際に担いで急階段を上り下りできるかも課題だ。スギヤス(同県高浜市)は車いすのまま利用できるチェアリフト(階段昇降機)を提案したが、導入にはレールや台座の取り付けなど木造階段の大幅な改修が必要になる。

「車いすから乗り換えることが大きな負担」「楽に昇降できなければEVに代わる装置とはいえない」。各社の技術について説明を受けた障害者団体の参加者からは否定的な声が上がる。

市は今後も説明会を開き、今秋には新技術の国際コンペも実施する方針。新天守閣の完成予定は2022年末で、早ければ18年内にも採用する新技術を絞り込みたいとしている。

建築物のバリアフリー対策に詳しい東洋大の高橋儀平教授(建築学)は「社会や時代が求めるバリアフリーを実現するのが行政や首長の役割だが、安全性を担保できるレベルまで新技術の開発が進むのか見通せない」と指摘する。

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