2019年7月17日(水)

高校野球

快進撃の金足農、人口減に悩む秋田に「勇気」

2018/8/21 19:55
保存
共有
印刷
その他

100回目の夏の高校野球。秋田の県立高校、金足農業の快進撃に甲子園が沸いた。21日の決勝戦は大阪桐蔭に敗れたが、多くの県民が最後まで熱いエールを送り続けた。全国ワースト1の人口減少や少子高齢化に悩む秋田県。「諦めない姿に感動した」「次は我々大人の番だ」。地元球児たちの闘いが人々の心を奮わせた。

決勝で敗れた金足農の選手に拍手を送るパブリックビューイング会場の秋田県民ら(21日午後、秋田市)

決勝で敗れた金足農の選手に拍手を送るパブリックビューイング会場の秋田県民ら(21日午後、秋田市)

「いぐがんばった」「感動をありがとう」。21日午後4時すぎ、金足農の敗戦、準優勝が決まると秋田市中心部のパブリックビューイング会場に大きな拍手が広がった。集まった約1550人の観客の多くが涙をこらえきれず、目頭を押さえた。

試合中盤に大きく引き離される苦しい展開だったが、観客は最後まで声援を送り続けた。秋田市の大学4年、山田紗綾さん(23)は「負けてしまったけどこれまでの闘いで大きな感動をもらった。決勝まで残るとは思わず、夢を見させてもらった」と振り返った。

秋田勢が決勝の舞台に立ったのは第1回大会以来103年ぶり。当時の秋田はコメや木材、鉱物などに恵まれ豊かだったが、いつしか県外に送り出す資源は「金の卵」の若者たちに変わった。

人口減少率や少子高齢化率は今や全国ワースト。ピーク時に135万人だった県人口は昨年100万人を割り、現在は98万人と、第1回大会当時と同じ90万人台になっている。

「秋田から若者がどんどん流出している」と話すのは、秋田駅近くの陶器屋で働く今野真由美さん(49)。寂れた商店街は歩く人の姿もまばら。「(金足農の活躍は)久しぶりの明るいニュース。こんなにたくさんの人が街に集まったのは初めて」と目を細めた。

決勝戦が始まった午後2時。人通りが減った市内を歩いていた大学4年、菊地脩さん(22)は、情報・通信系の会社を志望し就職活動中という。

「秋田が好きで地元に残りたいけど、県内は希望する業界に数社しかなく、就職先が見つかるか……」と悩む。勇気づけられたのが自宅近くにある金足農の活躍。「世代の近い高校生が地元を盛り上げてくれた。これをきっかけに若い力で秋田を盛り上げたい」

金足農は今大会、農業高校としての期待も一身に背負って闘った。高校の近くで代々コメ農家を営む宇佐美富子さん(64)は義父、夫、娘が3代そろって同校出身。「勝ち進むたびに家でパーティーを開いた。準優勝という素晴らしい結果で夏の良い思い出をつくってくれた」と笑顔を見せる。

地区はコメ農家が多かったが、近年は後継者不在で辞める家も目立つ。宇佐美さんは「農業高校が注目を集めたことで、少しでも農家を志す人が増えてくれれば」と期待する。

試合終了後、秋田県庁公式ツイッターは「胸を張って、秋田に帰ってきてください」と準優勝をたたえた。元高校球児で、日米大学選手権で古田敦也氏らを擁する日本代表のキャプテンだった県財政課長の猿田和三さん(55)は「秋田の自信につながった。人口減少を打開するために、次は我々大人ががんばらなきゃいけない」と話した。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

高校野球 一覧

遠野緑峰戦に先発し、2回を完璧に封じた大船渡・佐々木(16日、花巻球場)=共同

 第101回全国高校野球選手権大会の出場を懸けた地方大会は16日、各地で試合が行われ、岩手では、最速163キロを誇る佐々木を擁する大船渡が、初戦の2回戦で遠野緑峰に14―0で五回コールドゲーム勝ちした …続き (16日 18:06)

 第101回全国高校野球選手権大会の出場を懸けた地方大会が13日、各地で行われ、愛知では今春の選抜大会を制した東邦が2回戦で星城に3―10で八回コールドゲームで敗れ、春夏連覇の可能性が消えた。東邦はエ …続き (13日 13:09)

 日本高野連は3日、大阪市内で選抜高校野球大会の運営委員会を開き、来春の第92回大会の出場校を例年通りの32校とすることを決めた。一般選考が28校、21世紀枠が3校、神宮大会枠が1校。
 地区別の内訳は …続き (3日 19:03)

ハイライト・スポーツ

[PR]

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。