台湾、断交連鎖止まらず エルサルバドルと
中国が米接近に警告

2018/8/21 17:42
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【台北=伊原健作、北京=永井央紀】中国外務省は21日、中米エルサルバドルが台湾との外交関係を断絶し、中国と国交を樹立したと発表した。台湾の友好国は残り17カ国まで減った。中国の圧力により台湾は5月以降に3カ国と相次ぎ断交に追い込まれた。中国は米国との接近が目立つ蔡英文政権に警告する意図で、圧力を一段と強めているとみられる。

中国の王毅外相とエルサルバドルのカスタネダ外相が21日午前、北京で国交樹立の共同文書に署名した。中国外務省によると、カスタネダ氏は台湾が中国の不可分の一部分だと承認。台湾とは「今後一切の公式関係は生じない」と言明したという。王氏は「178カ国が中国と国交を結び、(台湾が中国の一部とする)『一つの中国』原則は世界の趨勢だ」と強調した。

一方、台湾の蔡総統は断交を受け台北市内で緊急会見した。「(台湾の)主権を侵している」と中国を非難し、「台湾は圧力に屈服せず団結する」と強調した。

「一つの中国」原則を認めない蔡政権が発足してからの2年3カ月間で、中国に外交関係を奪われるのは5カ国目だ。経済力の格差を背景に断交の連鎖が止まらない。

台湾の外交部(外務省)によると、エルサルバドルは港湾開発や政権与党の選挙の資金として巨額の援助を台湾側に要求。台湾側が難色を示したのが断交の背景になったという。5月にカリブ海のドミニカ共和国と断交した際は、中国が同国のインフラ開発に30億ドル(約3300億円)規模の支援を約束したとされる。台湾側は「金銭外交だ」と批判を強めるが、打開する道は見えない。

中国との国交樹立に向けたエルサルバドルの動きを台湾側が察知したのは6月。7月には呉●(かねへんにりっとう)燮・外交部長(外相)を派遣するなど関係維持に奔走していた。中国側は今回、米に接近する蔡政権をけん制するために国交樹立のタイミングを見計らった節がある。

蔡氏は20日に中南米への外遊から戻ったばかり。19日には経由地として滞在した米ヒューストンで米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターを視察。台湾の総統として初めて米政府の関連機関を訪れた。米はアジアの安全保障や通商を巡り中国との対立が激化し、中国をけん制する「カード」として台湾と接近。米台が「対中国」で共鳴する構図に、中国は神経をとがらせていた。

中国側には台湾与党で独立志向を持つ蔡氏の民主進歩党を追い込み、弱体化させる狙いもあるとみられる。台湾では11月、20年の総統選の行方を占う統一地方選が迫る。親中派の最大野党、国民党は21日に「蔡政権は断交が続いていることを国民に謝罪せよ」とするコメントを出した。

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