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今日も走ろう(鏑木毅)

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東京五輪マラソン 酷暑をチャンスに

2018/8/23 6:30
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東京オリンピックのマラソンを考える上で忘れてはならないのは1991年に東京で開催された陸上の世界選手権だ。男子マラソンで谷口浩美選手が最終盤に抜け出してみごと優勝を飾ったが、それ以上に印象的だったのは篠原太選手の5位入賞。失礼ながら持ちタイムでは到底なしえないと思われた成果を地元開催のひのき舞台でなし遂げたことになる。

夏の東京の暑さはとりわけ湿度が問題になる。海外選手も十分な対策を練ってのぞむだろう。それでもこの環境は付け焼き刃で対応できるレベルではない。

91年世界陸上の男子マラソンは9月1日午前6時スタート。気象条件は気温26度、湿度73%で谷口選手の優勝タイムは2時間14分57秒。当時の世界記録よりも8分以上遅く、ここ半世紀の五輪、世界選手権の優勝タイムとしては50年前に標高2240メートルの高地で開催されたメキシコ五輪でのエチオピア選手の2時間20分26秒と、2007年大阪世界陸上のケニア選手の2時間15分59秒を除けば最も遅いタイムとなる。

2015年、シンガポールでのレース。酷暑の闘いは意外性に満ちている

2015年、シンガポールでのレース。酷暑の闘いは意外性に満ちている

東京世界陸上の光景は脳裏に焼き付いている。スタート時点ではむしろ秋風が吹き涼しいくらいだったのに、中間点付近から気温が上がり、多くの有力選手が脱水症状でリタイアした。これまでの五輪や世界選手権も多くの大会が夏に開かれてきたが、これほどの高温多湿での開催は少ない。

2年後の東京五輪のマラソンは女子は8月2日、男子は同9日にいずれも午前7時発走の予定。晴天ともなればレース終盤には気温35度を超える可能性もある。東京世界陸上のころよりも世界記録は4分近く短縮されており、全体のレベルは上がるだろう。とはいえ混沌として波乱含みのレースとなるに違いない。だからこそ私は日本勢に大きな期待を寄せている。

54年前の東京五輪では円谷幸吉選手が3位、27年前の東京世界陸上では谷口選手が優勝、女子で山下佐知子選手が2位、07年の大阪世界陸上は女子で土佐礼子選手が3位。日本開催のビッグレースでは今まで必ずヒーロー、ヒロインが生まれてきた。現在の世界のトップランナーの趨勢からみれば厳しいと思われるが、五輪史上まれな過酷条件のもとで行われるレースゆえ、自国開催となれば間違いなく声援の力が選手の背中を押し、地の利を得た日本選手に活躍の可能性が広がるはずだ。

選手の健康を考慮すれば午前5時までのスタートの前倒しが望ましいのかもしれない。大きな事故なく無事に終わることを心から願う。自国開催の五輪では選手をはじめ関係者のプレッシャーは計り知れないものに膨れ上がるだろう。2年後の大舞台、選手には最高の成果を手にするイメージだけを膨らませ、周囲の大きな期待を力に変えて大輪の花を咲かせてほしい。酷暑だからこそまさに千載一遇のチャンスとなるのだから。

(プロトレイルランナー)

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