2019年3月19日(火)

アベノミクスの行方焦点 自民総裁選、来月20日投開票

2018/8/21 15:50
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自民党総裁選の日程が9月7日告示、20日投開票で決まった。6年ぶりの選挙戦は、3選がかかる安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元幹事長との対決が軸となる。安倍政権の経済政策「アベノミクス」継続の是非や、少子高齢化社会にふさわしい社会保障政策などについて議論が深まることが期待される。憲法改正では9条を巡り早くもさや当てが始まっている。

山口市であいさつする安倍首相(右)と鳥取県米子市で総裁選への決意を語る石破元幹事長(11日)=共同

首相は8月中に出馬を正式表明する際に重点政策を発表する。21日には首相支持の派閥の幹部が応援集会の日程を協議した。従来の細田、麻生、岸田、二階各派に加え、石原派と竹下派の衆院側も合流した。

石破氏は同日、国会内で記者団に「憲法や経済、外交・安全保障などすべての分野で互いに議論を戦わせる時間をとることは党の責務だ」と述べた。党総裁選管理委員会は街頭演説などの調整を進める。

経済政策では首相はアベノミクスの加速を掲げる。山梨県富士河口湖町で16日に開いた党所属の同県議らとの夕食会では「今のままのトレンドで経済を活性化させたい。公共事業もしっかりやる」と語気を強めた。企業業績の拡大や有効求人倍率の向上といった実績をテコに支持を訴える。

第2次安倍内閣発足から約5年8カ月。法人実効税率を30%未満に引き下げ、環太平洋経済連携協定(TPP)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の署名にもこぎ着けた。外国人観光客も大幅に増えた。菅義偉官房長官は21日、札幌市内で講演し「今年の訪日客は3300万人くらいになると思う。2020年に4000万人の目標は完全に視野に入った」と語った。

ただこれまでは金融の異次元緩和と積極財政に頼ってきた面が強く、3本柱の1つのはずの規制緩和などの構造改革は迫力不足の感が否めない。低金利政策は地方金融機関の経営悪化などの副作用ももたらしている。

石破氏はこうした負の側面を指摘し「アベノミクスは不十分」と軌道修正の必要性を訴える。7月に出版した著書には「いつまでもカンフル剤に頼ることなく、我が国の経済・財政の問題の処方箋を考えることが必要だ」と盛り込んだ。

地方創生相の経験のある同氏が「アベノミクスの先」の柱に据えるのは地方経済の活性化だ。著書には観光や再生可能エネルギーの地産地消、人工知能の活用などの地方政策を並べているが、具体性に乏しくアベノミクスの対案を打ち出せているとは言いがたい。

費用が膨らみ続ける社会保障をめぐっては、両氏がどこまで痛みを伴う改革の姿勢を示せるかが注目点だ。

首相は12日の山口県下関市での講演で「社会保障を全世代型へと改革していかなければならない」と強調し、高齢者に偏る給付を若者や子育て世代にも広げる考えを示した。実際に来年10月の消費増税にあわせて幼児教育・保育を無償にするが、高齢者の給付抑制は後回しになる。

石破氏は著書で、定期的に健康診断を受けるなど健康に気を使っている人にインセンティブを与えることを提案した。医療・介護費の抑制につなげる考えだが、実現の道筋や効果は不透明だ。

日本経済新聞社の第2次安倍内閣発足以降の世論調査をみると、優先してほしい政策課題に社会保障や景気対策を挙げる人が多い。憲法改正の順位は常に低い。首相も石破氏も憲法には強い思い入れがあるが、経済や社会保障政策でどこまで具体論を示せるかが地方票の動向のカギになる。

「総裁はイコール首相であるから骨太の政策論争を堂々と展開していただきたい」。高村正彦副総裁は21日の党役員連絡会の冒頭でこう述べ、総裁選を通じた政策論争の深まりへの期待を示した。

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