2019年5月23日(木)

汚職まみれのトランプ政権(The Economist)

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2018/8/22 2:00
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■有権者が気になるのは汚職より関税

トランプ氏自身にも様々な利益相反疑惑がある。民主党は、06年の中間選挙で効果抜群だった「腐敗の文化」という言葉を再び持ち出している。当時、ハリケーン・カトリーナへの連邦政府の対応を指揮するため大統領に任命された人物が、世界アラブ馬機構の会長職の他にたいした経歴を持たないことが判明し、ブッシュ(子)政権はぐらついた。同じ頃、共和党のロビイスト、ジャック・エイブラモフ氏の資金スキャンダルも発覚した。マナフォート氏の悪巧みと似た事件だ。民主党は、現政権の倫理問題を糾弾し、トランプ氏がさらうはずだった沼を共和党の面々がのんきに泳いでいるという構図と結び付けようとしている。

だが例えばアーカンソー州の有権者が、名前を聞いたこともないニューヨーク選出の下院議員や、役割がよく分からない省庁の閣僚の倫理問題に関心を持ち、支持していた共和党候補から対抗馬へ乗り換えるとは考えにくい。評論家のジム・フグリー氏は、中間選挙で接戦となりそうなノースダコタ州で、トランプ政権のスキャンダルが論点になっているかとの質問に対し、むしろ有権者が気にしているのは関税の問題だと答えた。かつてノースダコタ州の民主党組織の幹部だった同氏は、同州の選挙は「大豆の価格に左右され、1ブッシェル6ドルなら(民主党の現職)ハイジ・ハイトカンプ氏が勝つ」と予想する。アイオワ州の政治に関するブログ「ブリーディング・ハートランド」を執筆するローラ・ベリン氏は、トランプ政権の倫理問題は「主に活動家向けの話で、世間一般は関心がない」と話す。

トランプ政権があまりにスキャンダルまみれなため、個々の微罪はありふれた話にみえるのかもしれない。首席戦略官を解任されたスティーブン・バノン氏が、勝利する方法は「メディアにクソみたいにネタを流しまくること」だと発言していたのは有名だ。つまり、何が問題の本質なのかを誰にも考える余裕を与えないほど次々ニュースを流して圧倒してしまえばいいという発想だ。フグリー氏は「我々政治の専門家も、一般市民と同様に『またトランプがすごいことを言っている』とあきれているだけなのかもしれない」と語る。

(c)2018 The Economist Newspaper Limited. Aug. 18, 2018 all rights reserved.

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