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サマータイム提案の背景にある 64年五輪の呪縛
編集委員 北川和徳

2018/8/22 6:30
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2020年東京五輪の猛暑対策として大会組織委が提案したサマータイム導入の是非をめぐる論争が起きている。メリット、デメリットはいろいろあるだろうし、専門家ではないので賛成とか反対とか論じる立場にはない。ただ、五輪の運営全体から見るとどうにも不安を感じる。組織委が十分な検討をしてサマータイム導入を持ち出したとは思えないからだ。

東京五輪のマラソンのスタート時間は午前7時に落ち着いた(写真は設楽悠太)

東京五輪のマラソンのスタート時間は午前7時に落ち着いた(写真は設楽悠太)

東京五輪のマラソンのスタート時間は、当初の予定を30分繰り上げて午前7時に落ち着いた。午前5時も検討されたが、「国際陸連とも話し合い、5時は選手にとっても早すぎるということで、アスリート・ファーストを考えて7時になった」と説明があった。

仮にサマータイムで2時間時計が早まれば、事実上その5時スタートとなる。男子50キロ競歩はさらに1時間早い。生活時間帯すべてが変わるとはいえ、国際陸連へ打診はしたのだろうか。

巨額の放映権料を支払う米テレビ局の反応も気になる。日本がサマータイムに移行すれば海外での中継時間も変わる。

マラソンばかりが話題になるが、午後4時半からの試合が組まれているサッカーやラグビー、午後7時開始の夜間の陸上(トラックとフィールド)などは、そのままでいいのか。7月に国際オリンピック委員会が承認した競技日程の再調整が必要になるかもしれない。

サッカーなどは午後4時半からの試合が組まれている

サッカーなどは午後4時半からの試合が組まれている

こうした問題を考慮した上での提案なのだろうか。サマータイム導入を検討する理由として五輪が都合よく利用されている印象すら受ける。

最も心配なのは、これが東京五輪・パラリンピックを歓迎する機運にまた水を差すのではないかということだ。サマータイム導入は全国民にとってとんでもない負担となる。みんなが五輪開催を支持しているわけではない。五輪を大義名分にするとなれば、アンチ五輪派を増やし、大会への反発が広がりかねない。

商業化された現代の五輪を取り巻く状況は、国民の大多数が五輪の成功を願って一丸となった1964年大会とはまったく違う。価値観が多様化した時代であることもわかっているはずだ。ところが組織委や政治家のやり方には「五輪となれば国民はみんな喜んで協力する」という意識がすぐに顔を出す。

64年大会の呪縛をいいかげん解き放とう。

(20年東京五輪開幕まであと702日)

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