2019年5月25日(土)

(対決関西)違法駐車対策 大阪府警vs兵庫県警

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2018/8/21 11:30
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警察官の数で全国2位の大阪府警と5位の兵庫県警。犯罪捜査などとともに近年力を入れているのが路上駐車の取り締まりだ。かつて「違法駐車天国」と呼ばれた大阪は、取り締まりの民間委託によって違法駐車が10年で7割減った。兵庫では違反金の徴収を強化しており、滞納者の家電を差し押さえるなど「逃げ得」を許さない強い姿勢で臨む。(宮沢翔)

大阪府警 民間委託で汚名返上

かつて「違法駐車天国」とも呼ばれた大阪。御堂筋などの目抜き通りでは、迷惑駐車の車両が路肩にびっしり並んでいた。対策を強化してから、違法駐車として「放置車両確認標章」を取り付けられる車は年々減少。2017年までの10年間で7割減った。

要因の一つは06年に始まった取り締まりの民間委託だ。17年の取り締まり件数のうち、8割弱が民間の監視員によるものだった。短時間の駐車にも目を光らせており、大阪府警駐車管理課は「監視員が現れると運転手がすぐに車を移動するようになった」と話す。

路上駐車は渋滞を招くだけでなく、事故の要因にもなる。駐車車両の陰から飛び出した人が車にひかれるといった人身事故は、取り締まり強化によって06年からの10年で9分の1になった。府警交通総務課は「路上駐車を減らすことは命を守ることにつながる」と話す。

白タク対策として駐車違反取り締まりを行う(7月26日、関空での摘発キャンペーン)=大阪府警提供、一部画像処理しています

白タク対策として駐車違反取り締まりを行う(7月26日、関空での摘発キャンペーン)=大阪府警提供、一部画像処理しています

最近、力を入れているのは、中国などからの訪日客を無許可で送迎する「白タク」の締め出しだ。

7月下旬、関西国際空港第1ターミナルの一般送迎レーン。府警交通指導課などの警察官5人が停止中の車の運転手に声をかけ「長時間ここに止めていると違反になりますよ」と注意喚起した。訪日客狙いの白タクを締め出すのが目的で、この日は1時間で約20台の車に声かけした。

白タクは全国で問題になっており、特に訪日客の玄関口である関西空港では、一般客の乗降場所を白いナンバープレートのワゴン車がずらりと埋めることもある。府警は「根付かせないためには定期的な取り締まりが重要」と話す。

兵庫県警 競売使い違反金徴収

「加湿空気清浄機 見積価額1000円」「液晶カラーテレビ 見積価額1万円」。7月、ネットオークションに中古家電が売りに出された。出品者は「兵庫県公安委員会」。路上駐車の違反金を滞納していた男性から、県警が昨年12月に差し押さえた品物だ。

男性は2006~17年に駐車違反を19件繰り返し、このうち6件について計約10万円の違反金を納めていなかった。再三納付を促したが、男性が応じなかったため所有物を差し押さえたという。

県警は違反金の徴収を強化している。7月には駐車違反を14~16年に4回繰り返すなどして計約10万円を滞納していた男性から、ビットコインなど約3800円相当を差し押さえた。男性は預貯金がなく、職業も不明だったため差し押さえに踏み切った。仮想通貨を対象としたのは全国初だ。

兵庫県警が違反金徴収のため差し押さえたテレビを販売するネットオークションのページ

兵庫県警が違反金徴収のため差し押さえたテレビを販売するネットオークションのページ

17年に兵庫県内で取り締まった路上駐車は6万9048件で07年からほぼ半減した。背景にあるのは06年6月の改正道路交通法の施行だ。

それまでは路上駐車をした運転手にしか支払わせることができなかったが、運送会社など車の所有者に違反金を科すことが可能になった。交通指導課の担当者は「路上駐車を避けるよう事業者が運転手に求めるようになった」と話す。

06年6月以降、県警は約127億円を徴収した。県内で未納の違反金は17年3月末時点で約2億7000万円。交通指導課は「逃げ得は許さない」と力を込める。運転手、所有者のいずれに対しても厳しく徴収する姿勢を示すことが、違法駐車などの抑止につながっているという。

物流への配慮も必要
 取り締まり強化で放置車両は減ったが、物流業者には「配達のため一時的に車を離れても違反になってしまう」との悩みがある。小早川悟・日本大教授(交通計画)は「コインパーキングは貨物車には小さすぎることが多い。配達のための20分程度の路上駐車は認めるべきだ」と訴える。警視庁は一部地域で集配中の路上駐車を解禁する方針を決めたが、他の地域でも物流などへの配慮が必要だ。
 全国有数の規模の大阪、兵庫両府県警は課題も多い。大阪は2019年6月の20カ国・地域(G20)首脳会合を控え、テロ対策に力を入れる。兵庫では神戸市に本拠を置く暴力団山口組が15年8月に分裂し、抗争への不安が強い。違法行為を取り締まり犯罪の芽を摘むとともに、市民の声を聞き理解を得る努力が欠かせない。

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