2018年9月20日(木)

iPS応用 次は血液、京大 血小板の臨床研究発表

ヘルスケア
科学&新技術
2018/8/20 22:04
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 京都大学は20日、iPS細胞を用いて血小板が減る難病を治療する臨床研究計画を国に提出したと正式に発表した。厚生労働省の審議を経て、1年以内の輸血を目指す。目の難病やパーキンソン病、心臓病などに続く再生医療の計画で、血液成分の移植は初めて。臨床計画が相次ぎ、iPS細胞に集中した日本の再生医療の戦略が奏功するのか、問われる段階に入った。

 臨床研究は、血液の成分が減る難病「再生不良性貧血」の中でも血小板が減る「血小板減少症」の患者1人が対象。他人の血小板を輸血しても拒絶反応で消えてしまい効果のでない特殊な例だ。

 患者自身の細胞からiPS細胞を作り、血小板に育てて3回に分けて患者に輸血する。2カ月ごとに投与量を増やし、1年の経過観察で安全性や有効性を確認する。

 20日の記者会見で京大の江藤浩之教授は「献血のシステムを補う1つの選択肢として提案したい」と話した。高齢化で献血が減るとの予想もあり、iPS細胞をもとにした再生医療が役立つ可能性があるという。研究チームはiPS細胞から血液成分の赤血球を作る研究も進めている。

 iPS細胞を使う再生医療の人への移植計画は相次いでいる。5月、大阪大学の心臓病治療の臨床研究が厚労省で了承された。7月末には京大がパーキンソン病の再生医療の計画を発表。阪大が角膜の病気、慶応義塾大学が脊髄損傷や心臓病の再生医療を計画中だ。

 再生医療を巡って日本は、倫理面で慎重な扱いがいる万能細胞「ES細胞」の研究で出遅れたが、山中伸弥京大教授が2007年にヒトのiPS細胞の作製に成功。国を挙げて支援し、日本発の医療を実現するため資金と人材を集中してきた。京大や理化学研究所などの研究機関で治療実現を最優先に研究が進んだ。

 一方、米国は先行したES細胞も並行して研究を進めており、日本との戦略の差が目立つ。

 相次ぐ臨床研究を成功させるには、治療効果の確認とともに、十分な安全性の検証が欠かせない。iPS細胞にはがん化する懸念があり、移植する細胞の品質を確認する必要がある。

 今回は血小板を1回で最大1000億個輸血する。血小板には増殖しない性質があるためがん化リスクが低いが、品質の悪い細胞が紛れ込む可能性がある。研究チームは移植前に放射線をあてることで取り除く方針だ。

 普及には高コストという課題もある。今回の費用は患者自身の細胞からiPS細胞を作るため5000万円と高価。血液製剤を補うには、コスト低減が欠かせない。こうした課題の解決が国際競争を勝ち抜く鍵になる。

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