車載電池からレアメタル回収 三菱マテが技術開発

2018/8/20 19:22
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三菱マテリアルは20日、電気自動車(EV)などに搭載するリチウムイオン電池から希少金属(レアメタル)のニッケルやコバルトを回収する技術を開発すると発表した。2018年度内に実証実験を始め、20年4月以降に事業化の是非を判断する。中国企業による買い占めでEV向け電池の原料となるレアメタルの供給不安が強まっており、技術開発を急ぐ。

北九州市内に実証プラントを設置する

金属リサイクルの日本磁力選鉱(北九州市、原田信社長)と共同開発し、同社のひびき工場(北九州市)に実証プラントを設ける。ニッケルとコバルトを年間で計2トン回収、事業化の計画では電池材料メーカーへの販売などを想定している。

EVに搭載するリチウムイオン電池にはエネルギー効率を高めるためにニッケルやコバルトを使う。調査会社の富士経済によると、リチウムイオン電池向けのニッケル使用量は21年に16年の3.6倍の9万1400トンに、コバルトは同じく21年に16年の1.6倍の7万5000トンにそれぞれ増える見込み。

これらのレアメタルは埋蔵量が少なく産出国にも偏りがあるため、EV市場が拡大する中、将来的な供給不足がこれまでも懸念されていた。それがここにきて供給不安に拍車をかけているのが、猛烈な勢いで確保を狙う中国勢の動きだ。

レアメタルを手に入れるには、鉱石から取り出す場合と使用製品のリサイクルから得るケースの2通りの方法がある。このうち鉱石由来のコバルトは銅、ニッケル生産の副産物として得られ、世界生産の約6割をコンゴ民主共和国産が占める。同地には中国政府に資金面の支援を受けた企業が続々と進出しているのが現状だ。

16年には中国の大手金属メーカーが、世界資源大手の米フリーポート・マクモランから世界最大級のコバルト産出鉱山の権益の過半を取得。別の企業は18年3月、コンゴに権益をもつ資源大手のグレンコア(スイス)から3年間で約5万3000トンのコバルトを購入する契約を締結した。

中国勢の台頭に加えコンゴでは鉱山での児童労働の懸念があり、進出障壁は高い。ニッケルはインドネシアやフィリピンを中心に産出するが、14年にインドネシア政府が未加工鉱石の輸出を禁止(現在は品質の低い鉱石の輸出は可能)するなど鉱業政策への不安がつきまとう。

これらの動きに「(自動車メーカーを含む日本勢は)海外勢に資金力で勝負できない」(非鉄大手幹部)との見方を示す。このため、素材各社は電池のリサイクルで対抗する構えだ。

ニッケル鉱山の権益をもち、電池材生産も手がける住友金属鉱山は電池から銅とニッケルを回収し、電池材の原料として再利用する事業を17年に開始した。

JX金属はニッケル、コバルト、マンガン、リチウムを回収する技術を確立した。DOWAホールディングスやセメント最大手の太平洋セメントもコバルトなどの回収技術の開発を進めている。

三菱マテは廃電子機器の基板など、いわゆる「都市鉱山」からの金属回収で世界最大級の年20万トンの受け入れ能力をもつ。4月には「EV材料開発・リサイクル推進部」を設け、電池リサイクルの技術開発を進めている。

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