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中国、マレーシアと関係修復 米中貿易戦争にらみ摩擦回避

【北京=永井央紀、シンガポール=中野貴司】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と李克強(リー・クォーチャン)首相は20日、北京を訪れたマレーシアのマハティール首相と個別に会談し、農産品の輸入増など貿易拡大で合意した。中国企業が絡むインフラ事業の見直しをマハティール氏が打ち出したことで隙間風が吹いた両国関係の修復を演出した。米中貿易戦争をにらみ周辺国との摩擦を避けた形だ。

「マハティール氏の対中関係の重視を高く称賛する」。習氏は会談で訪中をこう持ち上げ、自らが主導する広域経済圏構想「一帯一路」への支持を称賛した。マハティール氏も「私の訪中の趣旨は中国への友好政策は不変だと表明することだ」と歩調を合わせた。

李氏は会談後の共同記者会見で「両国間の貿易、特にマレーシアの農産品などの輸入を一段と増やしていきたい」と表明した。両国首脳は一帯一路での協力や貿易拡大などを記した共同声明を採択した。

マハティール氏は5月の首相就任後「東海岸鉄道」計画や天然ガスのパイプライン建設など中国系企業が手掛ける複数のインフラ整備事業について国の財政状況を理由に中止を通告した。記者会見では「中国がマレーシアの財政状況を同情の心から理解してくれると信じている」と表明。「新たな植民地主義は望まない」と中国の影響力拡大への警戒もにじませた。

その一方、李氏は記者会見ではインフラ事業見直しの問題に触れなかった。ミャンマーやインドネシアなどでも中国とのインフラ事業の見直しが相次いでおり、対立が前面に出るのを避けた。李氏は代わりに「我々は自由貿易を守ることで一致した」と強調。「もし別の意見があるならどうぞ」と促すと、マハティール氏は苦笑しながら「賛同する。自由貿易は正しい方法だ」と語った。

李氏の念頭にあるのは中国に貿易戦争を仕掛けるトランプ米大統領へのけん制だ。中国は国際社会での孤立を避けると同時に、トランプ氏への対抗軸をつくるため、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国を含む周辺国との関係改善を急いでいる。懸案への深入りを避けたゆえんだ。

中国がマハティール氏との関係を重視していることは、首脳の振るまいにも垣間見えた。李氏はパーム油を使ったバイオ燃料の共同研究・開発などに関する協力文書の署名式典で、隣に立つマハティール氏に何度も顔を近づけて笑顔で会話を交わした。習氏と李氏はそれぞれ昼食会と夕食会を開いて歓待した。

一方、マレーシアにとっても中国は最大の貿易相手国で、経済成長に欠かせない存在だ。マハティール氏は首相に就任後「重要な貿易相手である中国とは仲良くしないといけない」と発言。インフラ事業の縮小・中止はあくまでマレーシアの債務を減らすのが目的で、中国との経済関係維持は重要だと強調してきた。

今回の中国訪問でも、自動車大手、浙江吉利控股集団や電子商取引大手、アリババ集団を訪れ、マレーシアの国産車メーカー、プロトン・ホールディングスなどとの協力拡大を確認した。領有権を争う南シナ海問題について、記者会見で言及することもなかった。

中国とASEANは南シナ海での紛争を防ぐための「行動規範」の策定を進めている。中国はASEAN内での発信力もあるマハティール氏に自国の立場への理解を働きかけ「行動規範」を中国に支障のない内容にしていきたい考えもある。

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