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広島・中崎、「神」でない抑えの危うい魅力
編集委員 篠山正幸

(2/2ページ)
2018/8/21 6:30
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投手の分業制がまだなかったころの話で、ここではもっぱら先発完投のエースのことを語っているが、1点を守り切れるかという状況で登板し、走者を出しながら抑える投球も、ひょっとすると山口さんのお眼鏡にかなうのではないだろうか。

広島の抑えの先輩、江夏豊さんの自伝にも、こんな一節がある。

「救援という仕事を極めていくなかで、自分は投手として一番大切なことを学んだ。ピッチングの心髄は走者を置いたときの投球にある、ということだ。自分がマウンドに上がるときはたいてい走者がいた。点差によって、投球は変わる。3点差なら2点まではやってもいいと考え、配球もそれに応じたものになる。では2点差ならばどうするか。1点もやれない場面ならどうするか……。そういうことを自分で工夫することがすなわち、配球の知恵であり、ピッチングの本質なのだ」(「燃えよ左腕 江夏豊という人生」)

ピンチ招きつつ抑える「娯楽性」

中崎はそこまでの境地には達していないだろうし、大投手を引き合いに出されたら、迷惑かもしれない。それでも、ピンチを招きつつ抑えるという投球は「出てきたらおしまい」という守護神にはないエンターテインメント性を帯びている。

広島の3連覇のゴールもみえそうなところまできた=共同

広島の3連覇のゴールもみえそうなところまできた=共同

広島ベンチは果たして、この危うい抑えっぷりでOKとしているのか。もっと強力な抑え投手をつくる必要性はないのか。当然ながら、疑問はわいてくるが、田島慎二や鈴木博志ら、ころころと代えて、結果的に抑え不在の状況に陥っている中日の例をみると、多少不安定でも信じて起用し続けるというやり方もあり、と思えてくる。

強打と菊池涼介らを中心とした堅い守りを誇る広島に死角はなく、3連覇のゴールもみえそうなところまできた。2016年、17年と2位以下に大差をつけてゴールし、今季も2位ヤクルトに11ゲーム差。リーグ全体としてはいささか味気ないペナントレースが続いている。

憎らしいほど強いという点で、V9時代の巨人にも似てきた広島。そのなかで唯一「緩さ」を見せているのが中崎だ。「神」ではない抑えがふりまく愛嬌(あいきょう)は、広島ファンにとっては不要だろうが、やや緩んだペナントレースに、多少の緊張感を与えるアクセントになっている。

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