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広島・中崎、「神」でない抑えの危うい魅力
編集委員 篠山正幸

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2018/8/21 6:30
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絶対的な決め球もなく、四球でピンチを招くこともあるのに、不思議と試合を締めくくってしまう、広島・中崎翔太(26)。抑え投手といえば、剛腕、剛球で「出てきただけで降参」というタイプが思い浮かべられるが、中崎は違う。守護神や大魔神といった形容とは対極にある「人間中崎」の抑えっぷりも、悪くない。(記録は20日現在)

今季49度の登板で、1イニングを3人でぴしゃっと抑えたのは12回。1イニング投げるうちに1、2本の安打を許し、ややもすると四球を与え、すんなり逃げ切りとはいかない「中崎劇場」が上演されている。

ファンに「胃薬を忘れずに」

このふらふらぶり、もはや「おはこ」といってもいいくらいで、本人もマツダスタジアムに来場するファンに「胃薬を忘れずに」と、冗談ながらに呼びかけている。

史上30人目の通算100セーブ到達となった8日の中日戦(マツダスタジアム)の登板も、持ち味全開の内容だった。

8日、通算100セーブを達成した中崎。スリリングな抑えっぷりも魅力=共同

8日、通算100セーブを達成した中崎。スリリングな抑えっぷりも魅力=共同

出番は7-5で迎えた九回。先頭の1番大島洋平にストレートの四球を与えた。次打者の京田陽太を遊ゴロ併殺に抑え、2死無走者。普通ならこのまま押し切る流れだが、すんなりいかないのが中崎。ここから四球を与え、一発が出れば逆転という場面をつくりながら、最後は何とかソイロ・アルモンテを遊ゴロに仕留めた。スリリングな抑えっぷりで「真骨頂が出ました」と自嘲気味に話した。

柳に雪折れなし、というのだろうか。打たれながらも、致命的なところまでいかないのが、この抑えの不思議なところだ。

今季、抑えに失敗して追いつかれた試合が4つあるが、勝ち越しは許さず、チームに勝利のチャンスを残した。今季、黒星はなしの1勝28セーブ。逃げきることと同時に、負けないことが抑えの使命とすると、十分責任を果たしている。

本人はびしっといきたいと思っているのだろうが、走者を出しながら粘るのも、それなりの芸当といっていいのではないか。

野球通だった作家の山口瞳さんの一文がある。

「西鉄の稲尾(和久)、巨人時代の別所(毅彦)というような人が登板すると球場がパッとはなやかになったものである。なぜか。この人たちは適当に打たれるからである」(「ああ! 懐かしのプロ野球黄金時代」)

塁上をにぎわすことなく、淡々と抑える投手は優秀かもしれないが、面白くない、と山口さんはいうのだ。

「エースというものは打たれてもよい。適当に打たれ、しかも点を与えないのがエースである」と文章は続く。

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