2019年3月20日(水)

迫る新学期、不安な子供の居場所づくり

2018/8/18 12:01
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夏休みの終わりが近づいてきた。学校を苦手とする子供たちの心が不安定になる時期だ。これまで9月1日前後に小中高生の自殺が集中するとされてきたが、自殺総合対策推進センター(東京都小平市)は「8月下旬がピーク」という調査結果を新たに公表。一人でも多くの命を救おうと、支援団体などが、子供の居場所作りを急いでいる。

世田谷パブリックシアターはワークショップを通じて地域の中学生と交流してきた

「さまようことが人生を豊かにする」「東大生も不登校生も悩みの根は同じ」――。不登校に関する情報を発信するNPO法人「全国不登校新聞社」(東京・北)は8月、不登校経験のある若者らが取材した「学校に行きたくない君へ」を出版した。リリー・フランキーさんや羽生善治さんら著名人20人が「生き方のヒント」を語った。

子供の自殺が夏休み明けに急増する実態が明るみに出た2015年に若者らが発案。約3年がかりで完成させた。「不登校新聞」の石井志昂編集長(36)は「新学期の初日をどう乗り越え、生きていくかがテーマ。『学校に行かなきゃ』と苦しむ子供たちに、人生の先輩たちの生き方を知ってほしい」と話す。

世田谷パブリックシアター(東京・世田谷)は9月2日、「夏休み最終日の居場所」として劇場を中学生に無料開放する。不登校やいじめを受けた経験がある大学生を招いて話を聞き、印象に残ったフレーズなどでカルタを作って遊ぶ。

1997年の開館以来、地域のワークショップで不登校の生徒らと接点を持ってきたが、中学生の夏休みに焦点を当てた企画は初めて。同シアターの恵志美奈子さんは「中学生は家と学校しかなく、世の中の広さになかなか気付けない。自分が拒絶されない場所があることを知ってほしい」と話す。

内閣府は15年に発表した自殺対策白書で、1972~13年度の18歳以下の自殺者数が9月1日前後に最多だったと指摘。「9月1日問題」として知られるきっかけになった。ただ、自殺総合対策推進センターが、06~15年度に絞って調べたところ、最も集中した時期は8月下旬だった。同センターは「9月1日に限らず、夏休み後半から夏休み明けにかけて、自殺防止の取り組みが求められる」と訴える。

支援の輪は広がっている。フリースクール木のねっこ(広島県廿日市市)は23日から、不登校児童・生徒の居場所を作り、相談などを受け付ける。昨年まで電話相談が中心だったが、今年は同市内の活動拠点を開放する。

「がまんできないほどしんどくなる前に児童館に」というメッセージを年間を通じて、毎日1回ツイッターで流しているのは児童健全育成推進財団(東京・渋谷)。加盟する全国約2800の児童館にも同様の情報発信を依頼している。同財団の担当者は「中高生になっても、児童館を居場所の一つにしてほしい」と話している。

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