台湾2.69%成長 18年見通し、小幅に上方修正
米中摩擦に警戒も
【台北支局】台湾の行政院(内閣)主計総処(総務省統計局に相当)は17日、2018年の実質域内総生産(GDP)の前年比の伸び率が2.69%になる見通しだと発表した。5月時点の予想から0.09ポイント上方修正した。基幹産業であるIT(情報技術)製品の輸出や消費が想定以上に順調なことを織り込んだ。ただ米中貿易戦争の影響が不透明で、小幅な上方修正にとどまった。
台湾はスマートフォン(スマホ)などの電子機器の生産を担う企業が集積しており、中国や米国向けの輸出が順調に伸びる。また蔡英文政権による防衛関連の予算執行が進んだことが政府消費を押し上げるという。
一方、主計総処の担当者は17日の記者会見で「米中貿易戦争や為替・株式市場の変動が不確定要因だ」と警戒をにじませた。台湾勢は中国でのIT製品の生産に深く関わる。ただ米はまだスマホなどの最終製品を関税強化の対象にしておらず、台湾勢への影響は見えない。もっとも4~6月期は民間企業の投資を含む資本形成が前年同期比2.57%減少した。景気の変調に備えて投資を抑制する動きも目立ちはじめた。
台湾の経済成長率は中国景気の減速の影響が直撃した15年に0.81%と、6年ぶりに1%を割り込んだ。その後は輸出をテコに順調に回復し、17年は2.89%だった。行政院は19年は2.55%成長を見込む。
同日発表した18年4~6月期のGDPの前年同期比伸び率(確報値)は3.3%だった。7月発表の速報値(3.29%)をわずかに引き上げた。