肌の悩み シミ出す鏡 パナソニック(もっと関西)
ここに技あり

2018/8/20 11:30
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「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだあれ」「ところで女王様、ここにシミが隠れていますよ」――白雪姫の魔法の鏡よりも一枚上手を行く鏡を、パナソニックが開発している。鏡の前に座るだけで、化粧の下にあるシミを発見。見つけるだけでなく、簡単にシミ隠しができるシールまで印刷してくれる。センシング技術を駆使した「スノービューティーミラー」だ。

LEDライトを照射し、シミなど肌の状態を測る

LEDライトを照射し、シミなど肌の状態を測る

パナソニックラボラトリー東京(東京・江東)の一室。鏡の前に座った人がタッチパネルを兼ねた鏡面に何度か指先で触れて操作すると、鏡の左右両側がピカッと2度明るく輝いた。ほどなくして鏡に映し出された本人の顔写真の上には、シミの位置がピンクの印で表示された。

シミとそうでない肌の部位では、光で照らされた時の反射のしかたが異なる。肉眼では分からないわずかな違いもセンサーで捉え、現在シミになっている部位だけでなく、これからシミになりそうな「シミ予備軍」の位置まで分析する。

シミ隠しのシールもその場で印刷可能だ。厚みが100ナノ(ナノは10億分の1)メートルと薄いフィルム上に、専用のプリンターを使ってファンデーションとコンシーラー(シミを隠す化粧品)を重ねて印刷。シールはのりがいらず肌に直接貼れる。

様々なメークのパターンを自分の顔で試すプレビュー機能も搭載されている。あらかじめパソコン上で描いたメークのデータに基づき、鏡に映った自分の顔にメークが施される。表情を変えた時にまゆや口元の印象がどう変わるか、といった検討も鏡の上で可能だ。

パナソニックの他の製品とは似ても似つかぬミラーだが、実は自社開発の様々な技術がつぎ込まれている。たとえば、メークのプレビュー機能にはテレビで培った高速の画像処理。シミ隠しシールの印刷には半導体や有機ELの製造技術、といった具合だ。

それもそのはず、ミラーはもともと、社内に眠る技術を新規事業につなげようと化学や工学などのエンジニアたちが2012年から開発を始めたものだ。消費者の動線を変えずに暮らしを大きく変えられる美容や健康関連の製品を検討した結果、毎朝使う鏡を活用したこの製品に行き着いた。

今後の実用化では、ミラーをエステや化粧品の店舗に設置したり、オーダーメードのシミ隠しのシールを定期的に家に届けたりする事業を検討している。開発に携わるパナソニック技術戦略部の川口さち子課長は「将来はその人の顔に合った化粧をシールを貼るだけで実現するところまで行けたらいい」と話す。

文 大阪経済部 出村政彬

写真 山本博文

カメラマンひとこと 鏡面のモニターに映ったピンクの印はシミの位置。女性が気にする肌を撮るのはなんだか申し訳ない気がした。ふと自宅で妻が「肌の調子どうかな?」と聞いてくることを思い出す。いつもどう答えればいいのか困るが、この装置があれば肌の状態がすぐに分かる。最新技術が女性の悩みのみならず、私の悩みも解決してくれる日を想像した。
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