2018年11月21日(水)

トルコ、利上げ回避へ奇手 にじむ大統領への配慮

2018/8/17 1:13
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【イスタンブール=佐野彰洋】通貨リラの急落に見舞われているトルコで、エルドアン大統領が拒む政策金利の引き上げを回避しようと、当局が奇手とも呼べる政策を相次ぎ繰り出している。中央銀行は割高な金利を使った実質利上げに着手、銀行監督当局は投機筋対策でスワップ取引を規制する。2年債利回りの上昇など副作用も生じており、小手先の対策はこの先限界を迎える可能性が高い。

トルコ時間16日午前10時半時点で、リラの対ドル相場は1ドル=5.78リラ前後と前日比約3%上昇した。13日には過去最安値の7.2リラ台を記録していた。

トルコ中銀は13日以降、主要な政策金利である1週間物レポ金利(17.75%)を通じた資金供給を割高な翌日物貸出金利(19.25%)に切り替えた。実質的な金融引き締め策で、市場関係者は「裏口利上げ」とやゆする。

銀行調整監視機構(BDDK)は15日、トルコの銀行が海外の金融機関などと手掛ける為替スワップなどの取引量を金融規制ベースでみた自己資本の25%に制限すると発表した。13日に発表した50%からわずか2日で半減させた。

空売り目的でリラを借りるヘッジファンドなど投機筋の動きを抑え込む狙いだが、リラの調達コスト急上昇を招き2年債利回りは14日と15日に30%を超えた。

スワップ取引はトルコの銀行や企業が将来のリラ相場変動に備える目的でも活用されている。同取引の制限は「銀行のバランスシート悪化に道を開いた」(米グローバル・ソース・パートナーズのアティラ・イェシラダ氏)との懸念もある。

一連の政策対応ににじむのが、金利は「搾取の道具」などと述べ、景気を冷やすとして利上げに反対するエルドアン氏への配慮だ。トルコのインフレ率は足元で約16%。年末には20%程度へ上がるとみられ、政策金利を大胆に引き上げなければ、リラへの信認は回復しないとの見方が大勢だ。

大統領の娘婿で経済政策を統括するアルバイラク財務相は16日、投資家との電話会議に臨み「資本規制のいかなる計画もない」と市場の懸念払拭に努めた。国際通貨基金(IMF)に支援を仰ぐ選択肢も否定した。

トルコは18日から、イスラム暦に基づく9日間の大型連休入りする。エルドアン氏としては、この間の相場急変を防ぎたいのが本音だ。

トルコは15日に米国から輸入する乗用車やウイスキーなどを対象に報復関税を倍増させたが、サンダース米大統領報道官は「間違った方向への一歩」と批判した。

対立の原因となってきたトルコ在住米国人牧師アンドルー・ブランソン氏の拘束問題について、ペンス米副大統領は15日、「トルコはトランプ米大統領の決意を試さない方がよい」と改めて即時解放を迫った。

自宅軟禁中のブランソン氏を巡っては、同氏の弁護士が釈放を裁判所に申請した。17日までに釈放されなければ、トランプ政権が追加制裁に乗り出すとの観測も浮上する。米紙ニューヨーク・タイムズはトルコの航空最大手ターキッシュエアラインズに対する運航制限などが取り沙汰されていると報じた。

SMBC日興証券の平山広太シニアエコノミストは「トルコ情勢はこの数日で好転したわけではなく、通貨危機が再燃する可能性は依然として大きい」と指摘する。

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