豪人口、2500万人を突破
インフラ・水資源など課題も
【シドニー=松本史】 オーストラリア統計局の推計によると、同国の人口が7日夜に2500万人に達した。積極的な移民の受け入れで豪州の人口は100年で5倍に増加した。今後も人口増は続き、2061年には3680万~4830万人まで増える見通しだ。
豪政府は毎年移民の上限を定め、12年度(12年7月~13年6月)以降は16万~19万人を受け入れてきた。豪州の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値)は1.79(16年)。16年度の人口増への寄与度は移民が63.2%で、自然増の36.8%を大きく上回っている。移民流入が経済成長を支える一方、住宅価格の高騰などへの不満が高まり、移民抑制を求める声も出ている。
「豪州の人口動態は多くの国に比べ力強い。経済を楽観視できる理由の一つだ」。豪準備銀行(中銀)のロウ総裁は8月上旬、講演で人口2500万人突破に触れ、移民による人口増が経済成長を支えていると強調した。
ただ1~3月期の住宅価格指数(11年度=100)はシドニーで171、メルボルンで153。移民の流入が住宅価格の高騰につながっているとの不満は根強い。ロウイー研究所によると、政府の移民受け入れ数を「多すぎる」と答えた人は14年の37%から18年には54%に急増。「適正」は47%から30%に減少した。
ロイヤル・メルボルン工科大学のイェゴ・ダッドソン教授(都市政策)は、人口増加は都心部の交通機関などのインフラに加え「水資源も圧迫する」と話す。豪州は現在、シドニーのあるニューサウスウェールズ州を中心に干ばつが続き、畜産業などに影響が出ている。同教授は今後効率的なインフラ開発だけでなく、人口増に対応した水資源の有効活用が必要だと指摘する。