ホームからの転落を自動検知、東急電鉄が実運用開始
東京急行電鉄は、駅構内に設置済みの監視カメラを利用して、ホームから線路へ転落した人を自動的に検知して通知するシステムを構築し、2018年8月8日から田園都市線鷺沼駅上りホームで運用を開始した。このシステムは17年11月から鷺沼駅で実証実験を行っていた。その期間中、さまざまな状況下で落下物を適切に検知できたことから、今般、鷺沼駅にて実際の運用を始めた。

今回のシステムでは、パナソニックの画像解析技術を鉄道環境に応用し、構内に既設の監視カメラの映像をリアルタイムに解析する。ホーム上から転落した人物や、転落につながる恐れのある人物などを自動的に検知し、駅務室などの離れた場所に設置された専用の監視端末に検知映像を表示するとともに、パトライトからアラームを発報し、係員へ通知する。従来の転落報知器とは異なり、何を検知して発報したかを画像で確認できるため、事故の可能性を見取って、早期に対処できることが特徴である。
システムの実運用の対象は、鷺沼駅の上り線のホーム(3番線と4番線)。運用時間帯は当面、21時から終電まで。このシステムの運用・データ管理は東急電鉄が行い、パナソニックは画像解析技術のみを提供する。また、映像データ取得から解析、検知、通知の過程まで、外部からアクセスできない環境において処理されるという。東急電鉄では、今後も幅広い画像解析技術を応用し、構内に設置した監視カメラを活用した駅構内の安全性・利便性向上に向けた施策を進めるとする。
(日経 xTECH 小島郁太郎)
[日経 xTECH 2018年8月10日掲載]