2018年9月20日(木)

カウントダウン東京2020

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スポーツ組織健全化に求められるJOCの指導力
編集委員 北川和徳

2018/8/15 6:30
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 スポーツ競技団体の前近代的な体質による不祥事が次々と明らかになっている。もっとも、日本のスポーツ組織のガバナンス(組織統治)やコンプライアンス(法令順守)が最近になって急に劣化したわけではない。以前から問題は内在していた。たまった膿(うみ)が吹き出していると考えるべきだろう。

 2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、わが競技は現状のままでいいのかという当事者の焦りとスポーツへの世間の関心の高まりが、スポーツ組織の旧態依然とした部分に変革を迫っている。日本のスポーツが20年大会をきっかけに新しいステージに進む大きなチャンスなのだと前向きにとらえたい。

8日、辞任を表明する日本ボクシング連盟の山根明会長=共同

8日、辞任を表明する日本ボクシング連盟の山根明会長=共同

 当事者である競技団体や学校に加え、担当官庁であるスポーツ庁や統括団体の日本オリンピック委員会(JOC)の責任を追及する意見も目立つ。個人的な見解だが、スポーツメディアに長く身を置いている立場としては複雑な気持ちになる。具体的な事例までは把握していなくても、日本のスポーツ競技団体の多くがガバナンスやコンプライアンスに問題を抱えていることは知っていた。それを事実上黙認していながら、内部告発などによって不祥事が明らかになったときだけスポーツ庁やJOCの責任を騒ぎ立てるのはフェアではない気がする。昨今、既存メディアへの信頼が揺らいでいるのは、そうした独善的な姿勢にも原因があるのではないか。

 とはいえ、日本のスポーツ、その中でも一部に根深い問題を抱える、いわゆるアマチュアスポーツの団体の体質改善をどうやって進めるのかは喫緊のミッションだ。

 東京五輪に向けてスポーツ界には公金から多額の補助金、助成金が出ている。政府はスポーツの産業化を政策として掲げ、プロスポーツでなくてもビジネスとしての成長が期待される時代になりつつある。そんな状況でガバナンスやコンプライアンスが欠如したスポーツ組織を放置することは危険すぎる。それこそ反社会的勢力の餌食になりかねない。

 問題は今回の日本ボクシング連盟のように競技団体の不適切な実態が疑われたとき、それをすぐに調査して正常化させるシステムがないことだ。スポーツ庁は競技団体の指導はしても、強制力のある指示、命令をする権限は持っていない。官である同庁がそうやってスポーツを管理するのは好ましくないとも思う。五輪スポーツに関してはやはりJOCに全体をガバナンスする役割を期待したい。

JOCが持つ有効な「武器」

 JOCにも指示、命令する権限はないが、五輪の競技団体を従わせる有効な「武器」を持っている。どんな競技もJOCに加盟を認められなければ五輪に出場することはできない。当初はかたくなだったボクシング連盟が会長辞任など体制刷新の方向に動き始めたのもその事態を恐れるからだ。

アスリートを守るためにも、JOCの強力なリーダーシップが求められている(写真は竹田恒和会長)=共同

アスリートを守るためにも、JOCの強力なリーダーシップが求められている(写真は竹田恒和会長)=共同

 JOCはボクシング連盟に対して第三者委員会を設置して調査し、9月28日までに報告するよう要請した。対応が悠長すぎると思った。JOCの加盟団体規程では、当事者の第三者委がなくても、JOCが自ら加盟団体の適正な運営を確保するために調査することを認めている。もっと介入できるはずだ。

 遅かれ早かれボクシング連盟にはJOCから処分が下るが、体制刷新が進まなければ「資格停止」「除名」などの厳しい対応を取らざるをえない。正常化が遅れて20年五輪に間に合わなくなる可能性もある。事態の収拾に時間がかかれば、東京五輪からボクシング競技の除外を検討している国際オリンピック委員会(IOC)の判断にも悪い影響を与えるだろう。結局、泣くのはアスリートなのだ。

 20年大会に向けて、スポーツ界に変革を求める動きはまだまだ続き、膿はもっと出てくるかもしれない。アスリートを守るため、そして日本のスポーツ組織の健全化を進めるために、JOCには強力なリーダーシップを発揮してもらいたい。

(20年東京五輪開幕まであと709日)

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