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塩野義、耐性菌対策へ技術・薬剤開発へ

塩野義製薬は抗生物質(抗菌薬)が効かない「薬剤耐性菌」でも薬が効くようにする技術や薬剤の開発に乗り出す。耐性獲得の原因となっている細菌の遺伝子を切断して耐性をなくす手法に取り組む英スタートアップ企業にこのほど出資した。感染症対策では強力な耐性菌が増える一方で新薬の開発が追いつかず、世界で問題になっている。新技術が実用化できれば、課題解決に役立つ。

英国のネメシス・バイオサイエンス社(ケンブリッジ)が組成する約2億円の研究ファンドに6月、一部出資した。同社が取り組んでいるのは、抗菌薬に組み込んだウイルスを耐性菌に感染させ、特定の遺伝子を切断するゲノム編集技術の確立。実用化できれば、効かなくなった抗菌薬の効果が戻る可能性がある。

ウイルスは耐性菌にのみ感染するため人体に影響はないとみている。まず動物を対象にした非臨床試験を目指す。塩野義は得意とする感染症領域で培った知見をもとに助言するなど開発を後押しする。将来、こうした技術を自社の医薬品に導入したい考えだ。

塩野義は耐性菌感染症に対する独自の抗菌薬開発にも取り組んでいる。2018年度中に抗菌薬「セフィデロコル」を米国で承認申請する方針だ。院内感染する肺炎の原因となる多剤耐性グラム陰性菌への効果が見込める。複数の感染症について最終段階の臨床試験(治験)を進めている。

耐性菌には抗菌薬の過剰投与を減らすなど対策が取られているが、根本的な解決には至っておらず、人類への脅威になっている。国内でも感染例が出ており、鹿児島大病院(鹿児島市)では入院患者ら15人から耐性菌や類似の菌が検出され、うち8人が死亡している。

塩野義は国内の製薬各社のうち耐性菌対策に取り組む数少ない企業だ。3月に米ボストン大学が主導する官民組織から研究開発に向け約5億円の助成を受けた。感染症治療薬を収益の柱とする同社にとって対応策の確立は不可欠で、今後も取り組みを強化する。

 ▼薬剤耐性菌 遺伝子変異などで薬の作用から身を守るすべを獲得した細菌で、本来効き目があるはずの抗菌薬に対して耐性を持つ。薬の効き目が弱まったり全く効かなくなったりする。1980年代以降に先進国で、抗菌薬の使い過ぎなどによって増えたとされる。
 英国の研究チームは2050年には世界で年1千万人が耐性菌によって死亡すると推計。危機感を持った世界保健機関(WHO)も、国際社会が優先して研究開発に取り組むべき耐性菌のリストを17年に公表している。

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