2018年9月21日(金)

熱中症対策で夏休み延長論浮上 戸惑いの声も

猛暑
2018/8/14 6:43
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 気象庁が「異常気象」と判断した2018年夏の猛暑。今後も厳しい暑さが続く見通しで、学校での熱中症事故を避けようと夏休みの延長論が急浮上している。愛知県の小学校で児童が熱中症で死亡した事故を受け、文部科学省は夏休み期間の延長などを検討するよう各教育委員会に通知したが、授業時間を確保するため夏休みの短縮化を図る学校現場や保護者に波紋が広がっている。

熱中症とみられる症状で倒れた生徒を搬送する救急隊員ら(5月、京都市南区)=共同

 「異常気象の連鎖」。8月10日に開かれた気象庁の異常気象分析検討会の臨時会は西日本豪雨や国内観測史上最高を更新した猛暑をそう総括した。7月は35度以上の猛暑日となる地点が続出し、埼玉県熊谷市で41.1度を観測。暑さは8月も続く見通しで、各地では熱中症による救急搬送や死者が相次いでいる。

 特に子供は身長が低いため地面からの照り返しを受けやすく、体温調節機能も未発達で熱中症になりやすい。学校現場でも事故が起きている。7月17日には愛知県豊田市で校外学習から学校に戻った小学1年の男児(6)が意識を失い、搬送先の病院で死亡した。

 こうした事態を受け、文科省は8月7日、子供の健康を最優先し、暑さに応じて臨時休業日を設けたり夏休み期間を延ばしたりするなどの検討を各教委に通知した。授業時間の確保策としては冬休みの短縮や土曜授業の実施で柔軟に対応するよう求めている。

 文科省によると、夏休みの起源は不明だが、1881年(明治14年)制定の小学校教則綱領で夏休みに関する記載が登場する。現在は学校教育法施行令に基づき、公立学校の時期や期間などは学校の設置者である各教委で決めている。

 夏休み延長論の急浮上に学校現場や保護者からは戸惑いの声も上がっている。20年度からの学習指導要領の改訂で小学3~4年で外国語活動が加わるなど授業時間が増えるため、一部の小学校は夏休みの短縮化を進めている。

 宮城県東松島市は18年度から小中11校の夏休みの期間を4日間短縮したばかり。市教委の担当者は「夏休みの期間をころころと変えにくいが、延長すれば冬休みを削ることになるかも」と話す。18年度から小学校13校の夏休みを1週間短くした徳島県鳴門市の担当者は「突然言われても……」と戸惑う。

 保護者の意見は様々。埼玉県川口市の小2児童の母親(36)は「最近は9月になってもかなり暑いし、子供の安全を考えれば夏休みの延長もあり得る」。東京都豊島区の共働きの40代母親は「夏休みが長くなると、子供の昼食の作り置きなどの負担も増える。祖父母に頼ってばかりもいられない」と悩む。

 夏休みの延長よりも、エアコンの設置(普通教室の全国平均設置率は49.6%)を早急に進めるべきとの意見もある。教育評論家の尾木直樹氏は「子供の安全を第一に考え、気候や冬休みを削れるかなど地域ごとの状況を踏まえたうえで、教育委員会と保護者が協議して夏休みを延長するかどうか決めてほしい」と話している。

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