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アプローチとパット、呼吸意識しゆっくり打つ(4)

 日大ゴルフ部のキャプテンだった久富章嗣さん。アマチュアとして全英オープン選手権予選にも出場を果たし、その後は学生や社会人を教えてきた。今は悩めるアマチュアの指導に精力的で、久富さんを信奉する生徒さんも多い。そんな生徒さんたちとの楽しいレッスンコンペにお邪魔した。そこで繰り広げられた数々のレッスンの中から、今号の特集に沿ってアプローチとパターに照準を合わせてみた。
(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.39」から)
 7番アイアンのアプローチ、「上げて、引いて、落とす」がベター

その後も中田透さんと深瀬治則さんはミドルホールでもドライバーを封印し、4番ウッドと5番ウッドでプレー。すっかり安定したショットが続く。

「午前中とまったく変わりました。午前中はドライバーを使ってあっちへいったりこっちへいったりと、大変でしたが、午後は一転、ドライバーを使わないだけで本当に楽にプレーができますね」

中田さんがしみじみ言う。中田さんは飛ばそうとしなくなってから、頭が動かず、体がブレなくなった。それでアイアンショットもすごくよくなった。

深瀬さんはたとえフォームが乱れてもショットは安定。フェアウエーにうまくボールを運んでいく。

グリーンに乗れば呼吸法のパッティングがある。

中田さんはすっかりマスターして、とても転がりのいいパットを打っていく。ラインが出るので、ミドルパットを何度も沈めてしまう。深瀬さんもナイスタッチでOKパットが多かった。

それで2人ともスコアが安定する。

久富さんが言う。

「『我が輩は4オンショッターである』。そう言い聞かせれば、実は4オン2パットのダボではなく、4オン1パットや3オン2パットのボギーであがれるようになるんです。それもドライバーを使わなくてもできる。そのことがわかってきたようですね。後はアプローチです」

後半途中まで、2人にアプローチに関してはアドバイスしなかった久富さん。自由にやらせていたのだが、深瀬さんが7番ホールでピッチングウエッジを使ったアプローチをダフって大きくショートした。

7番アイアンの転がしをレッスンしてもらう

「深瀬さん、ピンは奥ですし、5番アイアンでもう一度打ってみてください」

久富さんに言われ、カートに走っていく深瀬さん。元気だ。5番アイアンを持って再びグリーン前の同じ地点に戻る。構える深瀬さんに久富さんが声をかける。

「深瀬さん、手首を柔らかくして。コックを使って、何度かヘッドを上に上げてみてください。そうそう、上げ下げしてみてください」

すっかり手首が柔らかくなった深瀬さんに久富さんが再び声をかける。

「そうやって、上からコツンと打ってみるだけでいいですよ」

こうして深瀬さんが打ってみると、ボールはコロコロとグリーンを転がって、ピンそばまで近づいた。

驚く深瀬さん。

「久富先生から7番アイアンを使えといわれたことはありますが、5番アイアンは初めてです。小さなスイングで済むので、当たり損ねることもないし、方向性もいいですね」

こうして、次のホールのティーグラウンドで、7番アイアンの転がしのレッスンとなった。

「お二人にはこれまでも7番の転がしを教えましたが、どうもやっていませんね。ウエッジばかりを使う。それが普通と思うし、使うのに慣れているのでしょうが、ここまでちっとも寄せられていませんよね。もう一度、7番を使ってみましょう」

こうして、バックスイングしてからヘッドを外に上げ、コツンとヘッドを落とすアプローチを教えていく。

久富さんの転がしをまねてやってみる中田さんと深瀬さん。しかし、いまひとつ、うまくいかない。

「先ほどの5番アイアンの転がしのように、手首を柔らかくすることですよ」

そう、久富さんに言われる。

深瀬さんは「上げて引いて落とす」を練習

しばらく2人の転がしを見ていた久富さん、何かひらめいたようだ。

「ちょっとやり方を変えてみましょう。『引いて、外に上げて、落とす』のではなく、『上げて、引いて、落とす』にしてみましょう」

こう言って、久富さんが模範を示す。

アドレスしてから、リストコックを使ってヘッドを少し持ち上げ、そこから体を回してバックスイング、そのままヘッドを落としてコツンと打つ。

やってみるとわかるが、バックスイングしてからヘッドを外に上げるより、スムーズにできる。最初に外に上げるほうがやりやすいのだ。

このやり方で打ってみる中田さんと深瀬さん。すごくうまくプローチできるようになった。

「久富先生、簡単にやれます」

中田さんが目を輝かす。

「本当です。先生、これなら7番アイアンでアプローチできます」

深瀬さんも納得顔だ。

後でわかったことだが、この方法なら、ピッチングウエッジやアプローチウエッジでもうまくアプローチできるのだ。

「素晴らしい。この方法でこれからやってみてください」

8番ホールと9番ホールをこの7番アイアンのアプローチでうまく寄せた中田さんと深瀬さん。次のラウンドでは80台で回れるかもしれない。

そして、このやり方を最終ホールで知った後続組の水野富夫さんと田中彰さん。すっかりそのやりやすさのとりこになった。

水野さんは60ヤードの第3打で8番アイアンを持ち、「上げて引いて落とす」を実践、ナイスオンを果たしてボギーをとった。

「ラフからだったのに、スピンも効いてピン2メートルに止まった。大好きな8番でこの方法を使い、どこからでも寄せたいと思います」

笑顔の水野さんだった。

田中さんもグリーンそばから7番アイアンでアプローチ。前半よりもはるかにうまくなって、ナイスボギーとした。

みなさん、大満足の久富レッスンコンペだった。

呼吸法に気をつければ、打ち急がない

読者のみなさんも、久富流のユーティリティーや5番ウッドのアプローチ、また7番アイアンの「上げて引いて落とす」のアプローチ、そしてゆっくりとした呼吸を使うパッティングをぜひ実践してほしい。そのやさしさ、ミスの少なさに驚かれるはずである。

久富さんがクラブハウスにあがってから言った。

「あとは『我が輩は4オンショッター』の気持ちを持てば、ボギーペースであがれるようになります。80台も楽に出るようになりますよ」=おわり

(文:本條強、撮影コース:浅見ゴルフ倶楽部)

 ひさとみ・あきつぐ 1951年生まれ。日本大学ゴルフ部では主将を務め、アマチュアとして全英オープンの予選出場の経験を持つ。独自のゴルフ理論を展開し、これまでに多くのアマチュアをシングル入りさせている。全国に厚い信奉者がいるアマチュア向けレッスンの実力者。
 創刊10周年を迎えた「書斎のゴルフ」は、国内唯一の「読むゴルフ誌」として異彩を放ってきました。これからもゴルフの奥深さを味わい、真にゴルフを上達したいと願う読者の方々に向け、ゴルフの本質や神髄に迫る記事を中心にお届けしてまいります。ご期待ください。定期購読はこちらへ

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