2018年11月15日(木)

台湾蔡総統、中南米外遊へ出発
パラグアイ、大豆貿易で中国と接近懸念

2018/8/12 17:19
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【台北=伊原健作】台湾の蔡英文総統は12日、中南米のパラグアイ、ベリーズの2カ国歴訪に向け出発した。中国の圧力で台湾と外交関係を持つのは18カ国まで減少。南米唯一の友好国であるパラグアイは大豆の輸出先である中国との関係も深く、米中貿易摩擦で中国が輸入を一段と増やせば台湾との関係に影響するとの懸念も浮上。蔡氏は直接訪問で関係を結び直し、断交を未然に防ぐ狙いだ。

台湾の蔡総統は断交連鎖の火消しに奔走する(写真は17年12月末、桃園市)

「民主的で自由な台湾の姿を世界にアピールする。我々が不動であれば、誰も台湾の存在を抹消することはできない」。蔡氏は12日午後に台湾北部の桃園空港で声明を出し、外遊へと出発した。

蔡氏は14~16日にパラグアイを訪問し、マリオ・アブド・ベニテス氏の大統領就任式典に出席する。同国訪問は就任直後の16年6月末に続き2度目。今回は式典に招待されたため当面断交の心配はないとされるが、将来的には懸念もある。

米農務省によるとパラグアイは16~17年に1千万トン強の大豆を生産し、輸出量では世界4位だった。ロイター通信は今年4月に同国高官のインタビューを掲載。外交関係がない中国向けの輸出は統計に反映されないが、アルゼンチンなどを経由して間接的に中国が最大の輸出先となっているという。

中国は米の対中制裁関税への報復措置として、7月に米国産の大豆に25%の追加関税をかけた。米以外からの調達を増やすなかでパラグアイとの関係が深まるとの見方が浮上。台湾主要紙「自由時報」は7月、「パラグアイの国内には中国との国交樹立を望む意見が一貫して存在している」と報じた。中台は互いが国家と主張しており、双方と同時に外交関係を結ぶことはできない。

パナマの前例もある。蔡氏は16年にパナマ運河の拡張工事完了の記念式典に招待されて出席したが、1年後にパナマは突然中国と国交を樹立し、台湾と断交した。経済支援を武器に台湾の外交を切り崩す中国の手法を台湾側は「金銭外交だ」(外交部=外務省)と批判するが、対抗する手立ては乏しい。

台湾は米との接近に活路を求める。今回は経由地として往路で米ロサンゼルス、復路でヒューストンに立ち寄る。米国で3月に台湾との間で高官の行き来を促進する「台湾旅行法」が成立して以来、蔡氏が米国入りするのは初めてとなる。

ワシントンなど敏感な都市への訪問は避けた。蔡氏が米高官と表立って会談する可能性は低いが、米議員らと水面下で面会するとの見方もある。また同行する陳菊・総統府秘書長は蔡氏が米をたった後も別行動で米に数日間残り、現地での交流活動を行う見通し。中国は米台の接近に神経をとがらせている。

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