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アプローチとパット、呼吸意識しゆっくり打つ(2)

 日大ゴルフ部のキャプテンだった久富章嗣さん。アマチュアとして全英オープン選手権予選にも出場を果たし、その後は学生や社会人を教えてきた。今は悩めるアマチュアの指導に精力的で、久富さんを信奉する生徒さんも多い。そんな生徒さんたちとの楽しいレッスンコンペにお邪魔した。そこで繰り広げられた数々のレッスンの中から、今号の特集に沿ってアプローチとパターに照準を合わせてみた。
(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.39」から)
 ユーティリティーや5番ウッドを使ったアプローチがミスなくうまくいく

最初のハーフ、久富さんは水野富夫さんと田中彰さんと一緒に北コースをプレー。

1番のロングホールで早速、水野さんにアドバイス。

「ティーショットはドライバーを封印して5番ウッドでいきましょう。水野さんは前にAクラス入りしたとき、周りのプレーヤーが飛ばすことに萎縮して自分のプレーができなくなった。それがBクラス落ちの原因でした。今度もそうならないとは限らない。そこで、今回はわざと飛ばないようにして、スコアをつくっていく方法を教えましょう」

水野さんは5番ウッドで転がし

早速、5番ウッドで打った水野さん。飛ばす必要がなくなって気楽に打てたのか、いきなりナイスショットだった。

田中さんはドライバーが好調とのことだったので、そのままドライバー使用の許可が出る。その通り、きれいにボールが上がって飛距離が出ている。

「ロングホールは2打目のミスがスコアを悪くします。フェアウエーウッドを持って飛ばそうと力むからですね。水野さんも田中さんも7番アイアンで軽く打ちましょう。3オンしなくてもいいんですから」

その通り、2打目で7番を使い、次の3打目でグリーンをとらえられなかったものの、4打目で楽にオン。2人とも余裕のボギーとする。パットも練習グリーンでやった呼吸法が効果的で2パットで楽に収めた。

2番のミドルホールでも水野さんは5番ウッド、田中さんはドライバー。水野さんはセカンド、サードとミスって4オンだったが、それでもOK。田中さんは惜しくもグリーンを少しだけオーバーして3オンならず。ラフにボールがあったが、30センチ先はカラー、ピンが近く、パターで寄せようとした。すると、大きくショート。

「ここはユーティリティーを使うのが一番です。ロフトがあるから小さなスイングでもラフからポンとボールが浮いて転がってくれる。ウエッジではチャックリもあるし、やはりユーティリティーがベスト」

こう言って田中さんにユーティリティーで再度打たせた。田中さん自身、驚くほどピンに寄る。

「ユーティリティーでもパターと同じ感じで打てばいいんですね」

3番、4番とホールが進む。水野さんも田中さんも、そして久富さんもパットは入ったり入らなかったり。しかし、3パットはない。

久富さんが言う。

「さっきの私のショートパット。入りましたけれど、強かった。どれくらい切れるか、迷ったんですね。だから強めに打って入れちゃえと。入ったからよかったものの、入らなかったら4パットもあり得ました。『ネバーアップ、ネバーイン』ということわざがありますが、あれは勝負師の言葉。我々アマチュアは『カップに止める』をモットーにしなければいけません。危ないパットでした」

その後、田中さんがあと一転がりで入るというパットが続いた。水野さんにもそうしたパットがあった。

「確かに悔しいですよね。でも、そうしたパットは入るときもあるわけで、焦ったり悔しがったりしてはいけません。徳川家康ではないけれど、『入るまで待とうホトトギス』という気持ちでプレーしましょう」

7番のショートホールは打ち上げ。水野さんはわずかにグリーンに届かず、花道からのアプローチは打ち上げだ。ここで水野さんは5番ウッドを握った。コロコロと転がしで乗せて、手前のピン2メートルに寄せてしまった。にんまりと笑う水野さん。してやったりだ。

「ユーティリティーよりも5番ウッドがショットするのにも好きなものですから、アプローチもそれでやってみました。うまくいきました」

水野さんの言葉に久富さんが言う。

「水野さん、素晴らしい。サンドウエッジなどウエッジだと、打ち上げようとしてすくい打ちになりやすく、ザックリなどのミスを招きやすい。クラブ選択の勝利です」

こうした状況ではユーティリティーを薦める久富さんだが、5番ウッドでもまったく構わない。ソールが広く滑りやすいので、成功率が上がるのだ。

 ウェッジを使いたいときに、7番アイアンでアプローチする

8番ホールでグリーンをオーバーした田中さん。ウエッジで寄せようとしたが、久富さんから7番アイアンでアプローチをするように言われた。7番アイアンのアプローチもユーティリティーのアプローチ同様に久富ゴルフでは重要なファクターだ。

「ウエッジを使おうと思ったときに7番アイアンを考える。そうした頭脳がほしいのです。なぜならはるかにミスが少ないからです。ロフトが立っている分、ダフり難いし、トップしても飛ばないし、方向が狂いにくいからです」

こう言って打ち方を説明する久富さん。

「引いて上げて落とす」のアプローチ

「パターと同じように、直立してボールに近づき、前傾します。体を回転させてクラブを引いたら、クラブを外側に上げ、ヘッドを落とし、コツンとボールを打つわけです。『引いて上げてコツン』です」

言われた打ち方で素振りをしてみる田中さん。水野さんも同じようにやっている。

久富さんが言う。

「体の回転で打とうとすると、インパクトがない弱い打ち方になってしまう。コツンと打つことが大事です。この感じがつかめると、ショットでもインパクト感のある勢いのついたボールが打てるようになりますよ」

最近、お嬢さんがゴルフを始めたという久富さん。女性に多いインパクト感のない弱々しいスイングを、このアプローチを教えることによって矯正したという。

「では、田中さん、打ってみましょう」

田中さんが7番アイアンで打つと、ボールが思ったよりも強かった。インパクト感を出しすぎたのか。

久富さんが言う。

「グリップが強くて、手首も腕も硬かったですね。それでスイングが早くなってしまった。リラックスして、ゆっくり打ちましょう」

田中さんがもう一度やってみる。今度はとてもうまく打てた。

「グリップをソフトにしたら、柔らかく打てました。すごくいい感触です。先ほどのは『コツン』と打とうとして力が入ったようです」

7番アイアンでコツンとヘッドを落とす

久富さんがそれを聞いて言う。

「ヘッドは落とすだけ。打つんじゃないんです」

「落とす」がキーポイントなのだ。

「それとゆっくりスイングにはパットでやった呼吸法を使えばいいのです。ゆっくり息を吸いながらバックスイング、息を止めてヘッドを外に上げ、ゆっくり息を吐きながらコツンとヘッドを落とすんです」

こうして前半最後の9番ホールではグリーン周りから、気がつけば全員7番アイアンや5番ウッド、ユーティリティーでアプローチをしていた。

久富ゴルフが身についてしまったので、大笑いとなった。

アプローチも呼吸法を使う

「チャンピオンはナイスショットをするのではなく、ミスショットをしない人のことをいうのです。水野さんはそれを5番ウッドのティーショットとアプローチで達成しました。田中さんはドライバーが安定していますから、アプローチをユーティリティーと7番アイアンで達成できるといいですね」

水野さんが言う。

「5番ウッドでも戦えることがわかりました。それと5番ウッドのアプローチ。アイアンでのアプローチは8番が好きなので、それで後半はやってみたいと思います。8番なら少しボールが上がるので、バンカー越えなどでも使えると思うんです」

田中さんも言う。

「後半は久富さんから教わった7番アイアンのアプローチをどんどん使っていこうと思います。柔らかく打つコツがちょっとわかったので楽しみです。グリーンまで距離があっても、ラフからでも、バンカー越えでもピンが近くても、振り幅を調節すれば成功できそうです」

(次回掲載は9月26日付予定、文:本條強、撮影コース:浅見ゴルフ倶楽部)

 ひさとみ・あきつぐ 1951年生まれ。日本大学ゴルフ部では主将を務め、アマチュアとして全英オープンの予選出場の経験を持つ。独自のゴルフ理論を展開し、これまでに多くのアマチュアをシングル入りさせている。全国に厚い信奉者がいるアマチュア向けレッスンの実力者。
 創刊10周年を迎えた「書斎のゴルフ」は、国内唯一の「読むゴルフ誌」として異彩を放ってきました。これからもゴルフの奥深さを味わい、真にゴルフを上達したいと願う読者の方々に向け、ゴルフの本質や神髄に迫る記事を中心にお届けしてまいります。ご期待ください。定期購読はこちらへ

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