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アプローチとパット、呼吸意識しゆっくり打つ(1)

 日大ゴルフ部のキャプテンだった久富章嗣さん。アマチュアとして全英オープン選手権予選にも出場を果たし、その後は学生や社会人を教えてきた。今は悩めるアマチュアの指導に精力的で、久富さんを信奉する生徒さんも多い。そんな生徒さんたちとの楽しいレッスンコンペにお邪魔した。そこで繰り広げられた数々のレッスンの中から、今号の特集に沿ってアプローチとパターに照準を合わせてみた。
(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.39」から)

季節は立夏。5月というのに夏を思わせる暑い日に、久富レッスンコンペが浅見GCで実施された。当日は幹事の出川次郎さんが病気のために欠席、会の中心人物の島田一郎さんも私用があり欠席と、少し寂しい様相になりつつあったが、集まった人たちは上達意欲満々で、久富さんもやる気に満ちている。

(右から)水野富夫さん、深瀬治則さん、田中彰さん、久富章嗣さん、中田透さん、山田誠さん、筆者

一番若い田中彰さんがいつになくにこやかだ。

「久富先生に習ったときの先生のゆったりしたスイングを目に焼き付けて、それ以降、そのゆったりしたリズムを心がけて練習に励みました。そうしたらドライバーがすごくよくなって、きょうはそれを先生にお見せできたらと思っています」

水野富夫さんもやる気満々だ。

「今年70歳になったのですが、ハンディが12に戻り、Aクラスにも復帰できました。周りの方から『よく戻ってきた』と褒められてうれしく思っているところです。これも久富さんから強い人と回るときのコースマネジメントを教えていただいたおかげです」

その他に島田さんの仲間である深瀬治則さん、中田透さん、いつも久富さんの原稿を書いていただいている山田誠さんも先生とのラウンドが楽しくてたまらないといった感じだ。

 スタート前にパッティングのワンポイントレッスン

スタート時間が少し遅くなり、練習グリーンでパッティングの練習に余念がない久富さんの生徒さんたち。その姿を見て、久富さんが我慢しきれなくなり、早くもレッスンが行われる。

「みなさん、ちょっと聞いてください。みなさんはパットというと、いつでもカップに入れたくて仕方がなくなってしまいます。だから練習グリーンでもカップを狙って打つ。その結果、皆さん強く打ちすぎてしまう。カップに入ればいいけれど、入らなければカップをオーバーして3パットにしてしまう。それではスコアはつくれませんよ」

みなさん、一斉に手を休めて、久富さんの顔を見る。

「ゆったりしたストロークでゆったりとボールを打つ。そうすれば、ゆったりと転がって強すぎず弱すぎず、ちょうどよくカップまで転がります。そのようなパットをするには呼吸法を使うとよいのです。ゆっくり息を吸いながらバックストロークし、トップで一旦息を止め、そこからゆっくりと息を吐きながらダウンストロークしてボールをヒット、そのままフォロースルーを出していきます。どうですか、ゆったりとボールが転がるでしょう」

久富さんは説明しながら、実演する。本当にボールはゆったりと転がる。それも止まりそうで止まらない実に転がりのよいパットになる。

まずは直立してボールに近づき、前掲して構える
息をゆっくり吸いながらバックストローク、息を止めてトップ、ゆっくり息を吐きながらダウンストローク

「そうそう、言い忘れたことがあります。それはいきなり前傾して構えないことです。先ほど見ると、みなさん前傾したまま構えてしまう。それでは打ち気が満々になってしまう。つまり強くヒットしてしまうのです。ボールには直立したまま近づき、そこから前傾する。こうすると、手が体の近くになり、自然と体を回して打つことになります。決して手打ちにならない。ボールの上に目も来ますし、両目のラインも飛球線と平行になります。飛球線の上にボールを転がすことができるのです。さあ、やってみてください」

みなさん、言われたようにやってみる。ボールを3個並べて打つ人が多く、その際、ついつい前傾したまま打ってしまう。久富さんが注意する。

「深瀬さん、前傾したまま次々に打つのはマシンガン練習といって、身につかないですよ。一球一球、体を直立させてから前傾して打つ。本番の一球と同じようにやってください。そうそう、このことはショットの練習でも同じです。一回一回、体を起こしてから構え直す。丁寧に打ってくださいね」

カップを狙って打っている中田さんに久富さんが言う。

「カップを目がけると、どうしても入れたいと思って強く打ってしまいますよ。練習グリーンの隅っこでもいいですから、自分でティーペッグを刺して、それに向かって打つようにしましょう。最初は2メートルの距離から、ティーペッグの所でボールが止まるように打ちます。それができるようになったら、3メートル、4メートルと距離を延ばして、同じようにそのティーペッグに止まるように打つわけです。こうすれば、いろいろな距離に対応できるようになる。距離感をつくれるようになりますよ」

中田さんはティーペッグを刺して練習を始めた。最初はティーペッグに止めようと思っても結構強く打ってしまう。

「中田さん、呼吸法を忘れていますよ」

「あっ、そうでした。息を止めてやってました」

「だから強くなっちゃうんです」

中田さんはゆっくり息を吸ってバックストローク、息を一旦止めてトップ、それからゆっくり息を吐きながらダウンストロークした。

するとどうだろう。ティーペッグの少し手前でボールが止まった。

「そうです。中田さん、その感じです。ゆっくり呼吸しながらパットをすると、ゆっくりストロークできる。距離感が生まれるわけです。大事なのは距離感です。だから、入るか入らないかは気にしない。カップに止める意識があれば必ず2パットでは収まる。そして入ることも多くなりますから1パットにもなるんです」

これを見ていた田中さんが言う。

「久富先生、トップで一旦止めると、右手の感覚がすごく良くなって、右手でボールを転がす感じで打てます。それで距離感がうまくつくれるんですね」

久富さんが田中さんを見て笑う。

「よいところに気がつきましたね。パットの距離感は右手でつくるのです。この呼吸法パットはそれができる方法なんです」

水野さんも久富さんが言うことを一生懸命にやっている。

「久富先生、この呼吸法はショットにも使えますね。飛ばしたいと思ったり緊張したりすると早打ちになるので、そういうときにこの呼吸法で打てばゆっくりスイングできそうです」

久富さんが笑顔で答える。

「その通りです。ショットでもやってみてください。さあ、みなさん、そろそろスタートです。今覚えた呼吸法で、浅見GCを征服してみましょう。『飛ばさない、乗せない、寄せない、入れない』の『四ない主義』でラウンドしましょう」

さらに、久富さんは付け加える。

「『我が輩はフォーオンプレーヤーである』を実践してください。パー4のホールは4回で乗ればいいというつもりでプレーしてください。スリーオンしたいのはやまやまだと思いますが、3回で乗らなくてもいいと自分に言い聞かせてください。4回で乗ってダボで十分。そうした気持ちでプレーしてみてください」

(次回掲載は9月24日付予定、文:本條強、撮影コース:浅見ゴルフ倶楽部)

 ひさとみ・あきつぐ 1951年生まれ。日本大学ゴルフ部では主将を務め、アマチュアとして全英オープンの予選出場の経験を持つ。独自のゴルフ理論を展開し、これまでに多くのアマチュアをシングル入りさせている。全国に厚い信奉者がいるアマチュア向けレッスンの実力者。
 創刊10周年を迎えた「書斎のゴルフ」は、国内唯一の「読むゴルフ誌」として異彩を放ってきました。これからもゴルフの奥深さを味わい、真にゴルフを上達したいと願う読者の方々に向け、ゴルフの本質や神髄に迫る記事を中心にお届けしてまいります。ご期待ください。定期購読はこちらへ

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