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米、トルコに矢継ぎ早の追加制裁 強硬策に反発少なく

【ワシントン=中村亮】トランプ米政権がトルコに対する強硬策を矢継ぎ早に打ち出している。トランプ米大統領は10日、トルコからの鉄鋼・アルミニウムにかける関税を引き上げると明らかにした。閣僚の資産凍結に続く措置で関係悪化に拍車がかかるのは必至だ。米国人牧師の解放を理由とした措置に政権・与党内で異論は少ない。強硬策をテコに相手国から譲歩を引き出すトランプ氏の取引外交が加速している。

トランプ氏は10日、ツイッターでトルコから輸入する鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ50%と20%の追加関税を課すと明らかにした。米政権は3月に25%と10%の追加関税を課しており、今回の措置で追加関税が2倍になる。

トランプ氏は追加関税の引き上げはトルコ通貨リラの下落でトルコからの輸入品が割安になるのを防ぐためだと説明した。だが実際にはトルコで自宅軟禁状態にある米牧師アンドルー・ブランソン氏の解放交渉に進展がないことに対する報復との見方が多い。ブランソン氏は2016年7月にトルコで起きたクーデターに関与したとしてトルコ当局に拘束された。

米紙ワシントン・ポストによると、7月中旬の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の合間にトランプ氏はトルコのエルドアン大統領との通訳のみを交えた立ち話でブランソン氏の拘束問題を取り上げた。エルドアン氏はイスラエルで拘束されたトルコ人女性の解放に協力を求めた。

トランプ氏はブランソン氏の解放条件ととらえて、数日後の同女性の解放に協力した。だがトルコ当局はブランソン氏を収監から自宅軟禁に移すにとどめた。トランプ政権は1日、報復措置としてトルコ内相と法相の米国内の資産を差し止めた。両政府高官は8日にもブランソン氏の解放問題を協議したが大きな進展はなかったようだ。

トランプ政権がブランソン氏の解放にこだわるのは保守的なキリスト教福音派の支持を固めるためだ。同氏は福音派に属する。米調査機関ピュー・リサーチによると、福音派は米国民の25%を占める最大宗派だ。州別にみると、テネシーやケンタッキー、アラバマ、オクラハマでは約5割を占める。16年の米大統領選ではトランプ氏がいずれの州でも圧勝した。

キリスト教の保守系団体ファミリー・リサーチ・カウンシルは10日の声明で、米国に反抗する代償は大きく「トランプ大統領は(追加制裁を通じて)トルコに米国の味方と敵であることの違いを実感させる機会を与えた」と評価した。

米議会はトルコに強硬姿勢を示してきた。上院は1日、最新鋭ステルス戦闘機F35のトルコへの引き渡しを当面禁じる内容を盛り込んだ国防予算案を賛成87票、反対10票の大差で可決した。共和党のグラム上院議員は10日、ツイッターで「トルコは軍事的・経済的に重要な戦略的パートナーだ」としつつも今回の追加制裁について「やむを得なかった」と指摘した。

一方、米・トルコの関係悪化は軍事協力に影響する可能性がある。米空軍はトルコ南部のインジルリク基地を過激派組織「イスラム国」(IS)の壊滅に向けた拠点としてきた。両国はNATOにも参加し、加盟国が他国から攻撃を受ければ共同で反撃する集団的自衛権を持つ。関係悪化はNATOでの協力も揺るがす可能性があり、欧州諸国にとっても懸念材料となりそうだ。

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